特集「男はどうして旅に出るのか?」
いよいよ春到来、ゴールデンウィーク(GW)に向けての行楽シーズンがやってくる。今年はどこへ出かけようか、だれと楽しもうか、思い立った瞬間から旅の始まり。今回は海外旅行について。何かと不安を抱えがちだが、達人たちはどんなことに気をつけて、旅をしているのだろうか?
国内旅行に慣れ親しんでいる人にとって、海外旅行はまずまずな冒険だ。未知の場所への期待から心が浮き立つ一方で、不安を打ち消すことは難しい。“旅の失敗はいい想い出”。そんなことも言われるが、間違いのない旅行にしたいのが偽らざるオッサン心ではなかろうか?
ならば、旅の達人に尋ねて、最適解を見つけたい! そこで、世界中を飛び回り、テレビ番組『アナザースカイ』(日本テレビ系列)、『世界遺産』(TBSテレビ系列)などを手掛ける映像制作会社に所属するディレクター・八巻尚人さん、カメラマン・勝野 賢さんのおふたりに取材を実施。彼らが海外旅行に行くときに気をつけていることを聞いてみた。
鉄則1「ホテルは“足で探す”。アナログ情報は間違いない」旅の拠点となり、絶対にハズしたくないものといえば、やはりホテル。リゾートなら情報は潤沢だが、マイナーな旅先のときには選ぶのが難しい。達人たちの選び方とは?
「やっぱり人に頼むに限りますね。とくに現地の知り合いに聞けば間違いない。ただ、現地の知り合いなんて、一般の方はそうそういないですよね。だから、自分の周りで行ったことのある人を探すのがいちばん良い。アナログですが、それがいちばん間違いないんです」(八巻さん)。
「あと上級者向けですけど、予約しないという手も(笑)現地に行ってから決めるのがやっぱり面白いんですよ! ホテル選びは、旅の醍醐味のひとつ。リサーチはするだけして、現地でレコメンドを聞く。そうすれば、間違いのないホテルに出会えます。探した末に辿りついたホテルは愛着も湧きますし、旅の満足度は上がるはずです」(勝野さん)。
さすがは達人。でも、初心者にとっては中々ハードルが高そう。もしお目当てのホテルで「今日はいっぱいで泊められないよ!」なんて言われたら、心が挫けてしまいそうなのだが……。
「むしろ、そういうときこそチャンスです。どこの国・地域でも宿屋ネットワークは必ずあるので、『ここじゃなければ近くで良いところはありますか?』って聞いてみてください。経験上、宿屋の主人のオススメに間違いはありません」(八巻さん)。
宿屋の主人と仲良くなるのは、宿探し以外の意味でも得策。ときには、美味しいものを食べさせてくれたり、困ったときに助けてくれることもある。トラブルが多い海外だけに、現地での味方を増やすという意味でもコミュニケーションは必須なのだ。
鉄則2「旅のお供に、サンダル・正露丸はお忘れなく!」次にうかがったのは、海外旅行の必需品。「サンダル、正露丸はゼッタイ!」とのこと。正露丸はわかるけれど、サンダルは何故に?
「テレビクルーなら、持っていかない人はいないほどの必需品。といっても、ビーチで遊ぶためではありません(笑)。基本はホテル内で使う用。海外のホテルには用意されていませんから。土足文化なので仕方ないのですが、やっぱりリラックスするには靴を脱ぎたくなりますし、疲れの取れ方が段違い。日本のホテルだと、そこそこ床が綺麗ですが、海外だとそこまで期待できないので」(八巻さん)。
「正露丸は言わずもがなですね。最強の胃腸薬。これがあれば何でも食べられる。最悪、道の屋台料理に当たってもこれがあれば大丈夫!」(勝野さん)。
グルメは存分に楽しみたい。そんなとき、「当たってもコレがあればOK」と思い切った行動ができる、という意味でも持っておきたいモノなのだ。
鉄則3「自分なりの“遊び”を。日本ではしないコト・モノを」ほどよい冒険をするのが、海外旅行の目指すべきところ。おふたりが海外旅行をより楽しむためにしていることは?
「フィルムカメラを持ち歩くようにしています。記録用だったら、デジカメだったり、それこそスマホでも事足りますが、フィルムだと、何が撮れているか、どんな風に撮れているか、すぐにはわからない。そんな楽しみを持ち帰れるのが面白くて。時間差で思い出せるのもいいんです」(勝野さん)。
カメラマンならではの素敵な観点。帰ってから新鮮な驚きとともに楽しめるのは、データ撮影にはない喜びだ。
「海外に行ったら、サングラスをかける楽しみがあります。やっぱり日本だと抵抗があるじゃないですか。だから必ずサングラスは持っていって、雰囲気を満喫します。違う自分を装う、というのも知り合いが誰もいない海外ならではだと思いますよ」(八巻さん)。
いつもは出来ないファッションを自然に装える。これもまた海外旅行の醍醐味。達人の鉄則を参考にしつつ、今年はひと味違う旅行を計画してみてはいかが?
取材=岡野ぴんこ
文・=芋川 健