世界的名優も袖を通してきたライダーズは、男たちの永遠の憧れといっても差し支えないかと。とはいえ、見ようによってはどこか武骨で、想いとは裏腹に敬遠してきた大人もいるだろう。40を超えた今ならなおさら。でも、今回のタネさんの格好を見ればきっと思う。「アリだな」ってね。
「種カジのタネあかし」を最初から読むご覧のようにタネさんのライダーズジャケットスタイルはどこか落ち着いて見える。普段からよく袖を通しているがゆえのこなれ感? と思いきや「実は僕も“敬遠組”だったんですよ」という意外なお答え。渋カジ育ちのチーマー世代で、当時の本気系の方々のイメージが強く、長らく着てなかったんだとか。
ただ、最近試着したら妙にハマったというのがこちらのスエードのシングル。「これは尾錠がなく、ジップもスエードに合わせたゴールドパーツで大人っぽい。しかもフロントをビシッと全締めしたら、モードな気分も高まっちゃって」。
しかもスラックスを合わせ、オッサンには欠かせない清潔感まで手に入れた。「これにデニム&コンバースだと年齢には不相応。40代も半ばになったら、少しはきちんとしないと……」。
これなら敬遠気味だったライダーズも怖くない。それどころか春アウターの第一候補に急浮上すること確実ですな。
ライダーズをさらにきちんと着るワンポイント
春先は微妙な時季である。日中に春の訪れを感じつつも、夕刻を過ぎれば途端にブルッとしたり。そんなときは、ちょっとした防寒具代わりにシルクスカーフが良い。「武骨にはエレガンス、というように相反するアイテムでスパイスを」。こりゃさまざまなスタイルに活用できそうだ。ちなみにタネさん着用のこちらは、ヴィンテージのスカーフとタイをリミックスしたビームス プラスのリメイク品。
今回、ライダーズジャケットにスラックスを合わせたタネさん。サイズ感も実にいい。「今やシルエットメイクの王道ですが、トップスを絞ったらボトムスはゆるくてOK」。そのバランス、実はクラシックスーツからの引用なんだとか。「20年前のビームススタッフ時代はクロージングも扱っていたし、先輩からもたくさん学びました」。クロージングの引用をライダーズに落とし込むなんて……、相変わらずの引き出しの多さ、お見それしました。
PROFILE
たねいちあきら●1972年生まれの45歳、東京下町出身。長年勤め上げたビームスを退社し、現在はフリーランスとしてブランドのコンサルティングやプロダクトのディレクションなどを手掛ける。種カジのこぼれネタがポストされるインスタグラム(@taneichiakira)もチェックして!
山本 大=写真