ブランド、デザイン、はき心地、素材、加工、値段、etc.……デニム選びのポイントはいろいろだけれど、何にせよ妥協してはいけないのがシルエット。というわけで、シルエットが評判を呼んでベストセラーとなった名作7本を紹介する連続企画。
今回は、古き佳きジーンズの再現に挑み続けるブランド、オアスロウの「105」。
オアスロウの105
昔ながらのストレートを実直に。
全国がヴィンテージブームに沸いた時代をリアルタイムで過ごし、ドップリとハマった若かりし頃。あれから20年余り、自身もさまざまなデニムを経験してきた。けれども、この年齢になって改めて思う自分史上最高のシルエットは、やっぱり昔ながらのストレート、という人も少なくないだろう。オアスロウのデザイナー仲津一郎氏もまた、そんなOC世代のひとりだ。
ただ彼の場合は、少年期にその味わいに取り憑かれて以来、今日までブレることなくオーセンティックを追求してきた。独学でオリジナルジーンズを製作し、服飾学校を卒業したあとは世界的産地として知られる岡山県・児島にあるジーンズの老舗へ就職。
そのかたわら、稀少なオールドミシンを個人で買い集め、古き佳きジーンズの再現に挑み続ける。そして2005年、オアスロウをスタート。同時に発表され、今日までブランドのアイコンとして君臨しているのが「105」だ。
FRONT SIDE
’60年代初期の古着を分解し、藍染めの方法から色合い、糸の太さとムラの形状、旧式シャトル織機による打ち込み本数や糸の張り具合など、こと細かに解析。さらにボタンやリベット、紙パッチといったパーツまでも徹底的に蘇らせた。
シルエットも当然、往年のそれにならったパイプドストレートだが、現代でも野暮ったさを感じさせないのは、どんなに時代が変わっても決して色褪せない魅力に気付いた、同世代デザイナーの夢が詰まっているからだ。
街男ユースケと海男マーシーはオアスロウの105をこうやってはく!
街男ユースケの場合「これなら、真似したくなった」
プレーンなクルーネックニットを着て、首元から白Tシャツをチラリと。デニムの太さもベーシックで靴も同様。という安定コーディネイトでこそトレンド感いっぱいな鬼ロールアップを。新しさ、出ます。
海男マーシーの場合「色を有効的に使ってみる」
普遍的なデニムで、裾は4〜5cmでターンナップ。そこにクラシックスニーカーを合わせた安心感たるや。それでいて、「新鮮で爽やか」に見えるのは、春っぽいきれいな色のアイテムを各所で使っているからだ。デニムで無理するより、こんな感じで着こなすのがマーシー流なのさ。
オアスロウが作ったニューシルエットモデル
リラックスしたはき心地が最高
薄く軽やかなライトオンス生地が使われたイージーパンツは、ゆったりルーズなテーパードシルエットも手伝って、とことん快適。また見た目のヌケ感もリラックスした休日にもってこい。
1990年代のスポーツウェアがインスピレーションソースというように、ヴィンテージの再現にとどまらない、こうしたデニム素材によるアレンジ術もオアスロウが得意とするところだ。
岡田 潤(BE NATURAL)=写真(人物) 山本雄生=写真(静物) 石黒亮一=スタイリング yoboon(coccina)=ヘアメイク