ブランド、デザイン、はき心地、素材、加工、値段、etc.……デニム選びのポイントはいろいろだけれど、何にせよ妥協してはいけないのがシルエット。というわけで、シルエットが評判を呼んでベストセラーとなった名作7本を紹介する連続企画。
今回は、デニムの聖地カリフォルニア発のデニムブランド、エージーの「マッチボックス」。
エージーのマッチボックス
スリムストレート・フロム・カリフォルニア
ジーンズの故郷、カリフォルニア。とりわけLAは、名だたるデニムメーカーや関連企業が居を構えるほか、世界随一のヴィンテージマーケットが存在し、ストリートシーンやハリウッドセレブたちから生まれるデニムの流行発信地でもあるなど、あらゆる情報が集まる。誰が呼んだか“デニムのシリコンバレー”の異名もダテではない。
そんな聖地でプレミアムデニムの代名詞となったエージー。特筆すべきは、オフィス併設の広大な自社ファクトリーを構え、自社製品だけに注力する一貫生産体制を整えている点だ。これによりデザインアイデアをより高い純度と熱量を保ったまま素早くカタチにでき、クオリティも徹底的に追求できるのは大きなアドバンテージとなっている。
そうした背景によってもたらされる恩恵もしかり、ブランドの魅力である良好な着用感、細部まで計算し尽くされたパターンワークの妙は、長きにわたってボトムスと向き合い、人体構造を熟知する彼らでしか為し得ない代物なのだ。
FRONT SIDE
さらにヴィンテージさながらのエイジング加工にも高い技術力が見て取れる。例えばこの「マッチボックス」では、丁寧に6年間はき込んだイメージのこちらのほか、今季であれば12年、14年、16年、17年、 20年と豊富なエイジングのバリエーションが揃う。
ここまで詳細かつ小刻みな年数の設定は、ブランドの自信の表れでもある。それでいて、品良くスマートにキマるのは、ベースとなる珠玉のシルエットがあってこそだろう。
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