大半の男は、なぜかブルーが好きで、嫌いという天邪鬼にはそうそう出くわさない。
空の色、海の色。スーツやブレザーではネイビーに親しみ、デニムではインディゴのお世話になりっぱなし。子供服のボーイズは、ブルー系で溢れ返っているし、誰が決めたか男子トイレのピクトグラムも大半がそう。
この馴染み深い色をもっと好きにならずにはいられない、3メゾンが提示する新たなブルーを紹介する。
「ジョルジオ アルマーニ」のコート
ネイビーの神髄、ここに極まれり。といった感のあるトレンチコート。帝王、アルマーニの美学が随所から感じられる。裏地のないキュプラの光沢は、彼が(僕らも)愛してやまないネイビーの魅力を余すところなく発揮すべく選ばれたのだと思える。
ドロップショルダーによるゆるめのフィット感が生む素材のドレープは、光を受けてネイビーのさまざまな表情を見せてくれる。すべて計算ずくだろう。この服を着れば、有名すぎる名言「私は偽物が嫌いだ」が当然のように、腑に落ちる。
「ジバンシィ」のニット
ネイビー、ブルー、ミントグリーンのボーダー、Tシャツ仕立て、そして、大人になって知ったコットンのハイゲージニットの魅力。我々に馴染みある要素しかない、すごく身近な服だ。ジバンシィは、今シーズンより、これまでのリカルド・ティッシに代わり、メンズも女性デザイナーのクレア・ワイト・ケラーが担当。
原点回帰を公言した彼女は、英国人で、数々のデザイナーを輩出した名校セントラル・セント・マーチンズ出身。確かにブランド発足当初を思わせるクリーンな印象の服も多く、本作のブルーの色選びにも彼女の繊細な感性が表れる。今後もきっと、我々のツボを突いてくるだろう。これからのメゾンへ期待値が高まる、ブルーのTシャツのお出ましといって間違いない。
「エトロ」のバッグ
今ではペイズリーと呼ばれる、インドのカシミール模様を独自のセンスで現代に蘇らせ、一躍モードな存在へと押し上げたのが、エトロだろう。アールヌーボー的でもあり、サイケデリックでもあり、ウエスタンでもある、多彩な、そしてアクの強いこの柄を、ブルー系に統一。フラップはスエードに、ボディはジャカード織りに。
するとたちまち、クールな中に艶が際立ってくるから不思議。大人の男を引き立ててくれる良き相棒となる。今季コレクションでも目立っていたフォークな雰囲気をフリンジのストラップが強調。自由意思で装いを楽しむ、大人たちにこそ相応しいメッセンジャーだ。
ブルーをもっと好きになるための冒険ならいくらでもする所存。だから各社様、ワクワクするような青を引き続きよろしくです!