OCEANS

SHARE

坪単価が高い人気エリアほど、年月を経ても価格が保たれやすい

もうひとつ、坪単価にはマンションの資産価値の物差しとなる意味合いがある。一般にマンションの坪単価は、人気の高いエリアほど高い。坪単価には建物や設備の仕様グレードなども影響するが、地価が高い人気エリアほどハイグレードな仕様が採用される傾向がある。
したがって、同時期に坪単価が300万円のマンションと200万円のマンションがあれば、坪単価300万円のほうがより人気が高いエリアにあると言ってまず間違いない。そして人気エリアほど、坪単価が年月を経ても保たれやすいという側面がある。
上の例で言えば、坪単価200万円のマンションは坪単価300万円のマンションより買うときは明らかに割安だ。しかし、10年後、もしマンションを売却する状況になったとき、仮に新築時の80%程度まで値下がりしていると坪単価200万円のマンションは、坪単価にして40万円目減りすることになる。
一方、坪単価300万円のマンションはエリアの人気の高さから10年後も新築時の90%の相場を維持していたとして、坪単価の目減りは30万円で済むことになる。つまり、購入時に割安なほうがお買い得とは限らないわけだ。
実際に現在の中古マンションの市場を見渡せば、築10年でも新築時からほとんど値下がっていないエリアや、なかには値上がりしているエリアもある一方で、新築時の8~9割程度に下がっているエリアもある。それくらいマンションの資産価値はエリアの人気に影響されやすく、その人気を測る有力な目安となるのが坪(㎡)単価なのだ。
マンション購入を検討する人にとって、一般に目にする(グロス)価格は、住宅ローンをいくら借りる必要があるかに直結するので、資金計画上とても大切だ。
だが、それと同時に、検討するマンションの割高・割安感や資産価値の高さを、相対的な数字でとらえるために、坪(㎡)単価をチェックすることもぜひおすすめしたい。業界関係者でなくとも、マンション価格を坪(㎡)単価で語ることは、とても意味があることなのだ。
取材・文/山下伸介
1990年、株式会社リクルート入社。2005年より週刊誌「SUUMO新築マンション」の編集長を10年半務め、のべ2700冊の発刊に携わる。㈶住宅金融普及協会の住宅ローンアドバイザー運営委員も務めた(2005年~2014年)。2016年に独立し、住宅関連テーマの編集企画や執筆、セミナー講師などで活動中。


SHARE

次の記事を読み込んでいます。