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2018.01.02

ライフ

生ける伝説、ジャクソン・ブラウンが無視できないライブ中の“あること”とは?

知らなきゃ男が廃るが、知ってりゃ上がる。気にするべきは、顔のシワより脳のシワ。知的好奇心をあらゆる方向から刺激する、カルチャークロスインタビュー。

【ジャクソン・ブラウン】

1948年、独ハイデルベルク生まれ、米ロサンゼルス育ち。’72年のデビュー以来、アメリカ西海岸を代表するシンガーソングライターとして名曲を量産。700万枚以上を売り上げた代表作『孤独なランナー』(’78年)をはじめ、これまでに14作のスタジオアルバムを発表している。
米国におけるシンガーソングライターのレジェンドとして、今なお第一線を疾走するジャクソン・ブラウン。デビュー45周年を迎えた彼が、日本での公演をまとめたアルバム『ザ・ロード・イースト −ライヴ・イン・ジャパン−』を発表した。
「バンドメンバーに『素晴らしいアルバムを作ってくれてありがとう』と感謝されたよ(笑)。日本ではそれくらい良いパフォーマンスができたんだ。自信作だね」
1977年の初来日以来、実に12回にも及ぶツアーを行い日本との絆を深めてきた。客席のファンたちが聴きたい曲を叫び、そのリクエストに応じてジャクソンがプレイする光景は、もはやお約束となっている。
「特にアコースティックセットだと場内が静かだから観客のリクエストの声が際立つんだよね。だから誰かが叫んだ曲が、たとえライブでやったことのない、忘れかけている曲だとしても無視することは難しい。だって、みんなに聞こえちゃってるんだから(笑)。場内全体が『やってほしい!』という空気になるときもあって、では挑戦しよう、となるんだ」
重鎮ともなれば自分のペースを乱されることを嫌ってもおかしくないのだが、彼はまったく意に介さない。
「そういうやり取りはとても親密なので大好きなんだ。仮にその瞬間が理由でライヴの流れが変わることになっても、観客と空間を作り上げている感じがするし、僕は予想外のことが起こるのを愉しいと思うタイプだからね。ただ、バンドのメンバーはその曲を演奏できるとは限らないから、リクエストが飛んでくるのはヒヤヒヤものだよね(笑)」
柔和な笑顔でそう語る彼だが、反戦や環境運動にシリアスに取り組んでいる活動家としても知られる。 2015年、東京公演の初日は3月11日だったことから、反原発のメッセージを込めた曲を演奏。広島を訪ねた際には反戦を訴え平和を願う曲を披露した。特にトランプ政権になってからは「目が覚めているのに悪夢が続いているような最悪な状況」と、危機感をいっそう強めている。
「特に原発事故のことは日本だけの問題ではなく、地球規模の災害だと思っているんだ。海や空はつながっているからね。どこの国の人間にとっても無関係なことではないよ」と言葉に力を込めた。
彼自身、海をこよなく愛するサーファーでもある。
「年を取ってきたので最近はあまりやっていないけど、まだ現役だよ。この地球では、良いものも悪いものも、すべて最後に行き着くところは海だ。つまり、海には僕たちの人間性が反映されている。だからクリーンにしなくてはいけないんだ」

『ザ・ロード・イースト −ライヴ・イン・ジャパン–』


ジャクソン・ブラウン/ソニー・ミュージックインターナショナル/2000円
2015年3月の来日公演で演奏した曲からジャクソン自身が10曲を選び、まとめた日本限定発売のライヴアルバム。永遠の名曲「青春の日々」をはじめ、ライヴで人気の高い楽曲の数々が、彼自身が“ドリームバンド”と称する実力派メンバーの演奏で楽しめる。
朴 玉順(CUBE)=写真 美馬亜貴子=取材・文


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