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2017.12.26

かぞく

ちょっと無理めな妻へのお願い。心理学的にベストなタイミングは?

妻を説得する心理テク Vol.1
連れ添う年月を重ねると、何も語らずとも通じ合うツーカーな関係になる一方、妻の興味は子供へ移り、自分の主張が軽くあしらわれることも多くなる。夫婦関係のこと、お金のこと……、面倒そうなことならなおさらである。なんとか打開策はないものか? 「妻へお願いごとをする」、そんな場面を有利に運ぶための心理学テクニックを学んでみよう。

多くの夫婦は、時が経てば経つほど、結婚当初のときめきが色褪せてしまうもの。かつてはちょっと無理めなお願いにも「しょうがないな」と笑って許してくれていたのに、「はあ?」の一言で一蹴された、そんな経験ありません?
そんな状況下に陥ったなら、パパはどうやって意見を通せばいいのだろう。ケンカすることなく、お互いに心離れることなく、妻に笑顔で「うん」と言ってもらう方法は残されているのだろうか。
そのヒントを探るべく、頼りにしたのは「心理学」。普段のお願いの仕方で通じないなら、科学的な手法を頼ってみようというワケだ。そこで「やまなmental care office」の臨床心理士・山名裕子先生にお話をうかがった。
 

「ランチョンテクニック」と「カタストロフィー理論」

まず聞いておきたいのは、妻を攻略……もとい説得するための基礎知識。そもそも、妻がお願いを聞き入れやすい「ベストなタイミング」ってあるんですか?
「人間が心を開きやすい時間帯は“夜”。明るさと反比例するように、心の開放度は高まります。したがって奥さんになにかお願いごとをしたいときは、日が沈んでからがいいでしょう」。
ということは、子供が寝静まり、お互いにソファでまったりとくつろぐ時間帯が狙いどころ。さらに、「シチュエーションもポイント」と山名先生。
「心理学で『ランチョンテクニック』というものがあります。これは、ご飯を食べながら相手と交渉をすると、その交渉が成功しやすいというテクニックです。
『美味しい』と感じる心地良い気持ちが、同席者に対してもポジティブな感情を高めます。奥さんにお願いごとをするときは、美味しいものを食べさせてあげることですね」。
むむむ……。ならば会社の帰りにケーキでも買って帰るべきか。子育てに疲れた妻に美味しいものを差し出し、一緒に食べながら切り出そう。ただしこのときには注意点が。決して「このお願いを聞いてもらってあたりまえ」という態度をとらないこと。
「お願いごとが通らない家庭というのは、おそらく夫婦ケンカも増えていると思います。『カタストロフィー理論』といって、『愛と憎しみは紙一重』、つまり愛が大きいほうが憎しみも大きいように、身近な関係のほうがイライラしやすかったり反発心が芽生えやすかったりする状態なのです。常日頃からお互いに攻撃的な言葉を投げかけたり、『当たり前だろ?』という態度をとっていると、愛が憎しみに変わります。妻だからこそ慎重に言葉を選びましょう」。
これは耳が痛い人も多いだろう。妻だからこそ、1つひとつの言葉のやり取りに気をつけるべきなのだ。慣れて態度が雑になっているのは、妻だけでなく自分も同じ、ということ。正攻法だけれど、科学的に立証されているとなれば根気強く試してみる価値はある。
 

妻の話を上手に聞くテクニック「バックトラッキング」

そもそも妻に「お願いごとをする」行為は、妻に「俺の話を聞いてくれ」と主張することに他ならない。しかし、普段から妻の話を聞いていないパパに「俺の話を聞いてくれ」という資格があるかというと……。
「長く良好な関係が続く夫婦の特徴は、顔の表情変化が豊かなんですね。夫婦ともに表情がコロコロ変わります。普段から相手の話を『聞いているよ』とリアクションを取ると、お互いの信頼感が増します。仕事から疲れて帰ってくる旦那さんは相槌のレパートリーが減ってしまいがち。奥さんの話に対してリアクションが薄いのに、自分の意見だけは聞いてほしいなんて都合のいい話はありません。そんな環境だと奥さんはどうしても夫のお願い事を受け入れづらくなります」。
なるほど……でも正直なところ、女性の話って脈絡もオチもないことが多くて反応するのって苦手。「へーそうなんだ」以外にどう答えればいいか困ることも少なくなかったりする。何かとっかかりになるテクニックってないものですかね?
「ならば、『バックトラッキング』というテクニックを。奥さんの使った言葉を引用して相槌を打つことを心がけて下さい。『昨日、渋谷の美容院行ってきた』という話も、『渋谷の美容院に行ってきたの?』という具合ですね。こうすることで『私の話を聞いてくれている』と思わせることができます」。
 

今日から使える「心理学テクニック」のおさらい

・妻にお願いごとをするタイミングは「夜」で「美味しいものを食べているとき」。
・身近な存在の妻だからこそ反発しがち。できるだけ優しい態度と言葉でお願いをする。
・普段からバックトラッキングを活用して妻の話を聞く。
これらのテクニックはお願いごとだけでなく、元の良好な夫婦関係に戻したい場合にも使えそう。これでようやく、不協和音なく自分の意見を通すための「下準備」が整ったと言える。
 
次回からは、いよいよシチュエーションを想定した実践編に突入。昇進したいビジネスマンにつきものの「妻に休日の接待を快く送り出してもらう方法」について考えたい。なかなかの難題であることは間違いないが、その手法とは? ご期待ください!
 
【取材協力】
山名裕子
1986年5月7日、静岡県生まれ。臨床心理士。「やまな mental care office」を東京青山に開設。心の専門家としてストレスケアからビジネス、恋愛などあらゆる悩みへのカウンセリングを行っている。まだカウンセリングに対する偏見の多い日本で、その大切さを伝えるためにメディア出演や講演会活動を行う。日本テレビ「ナカイの窓」では心理分析集団「ココロジスト」を務める。新書に『読むと心がラクになる めんどくさい女子の説明書』(サンマーク出版)がある。
いのうえゆきひろ=取材・文


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