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2017.12.21

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オッサンも号泣必至!? 書店員が選ぶ“クリスマス絵本”


【特集】オッサンとクリスマス
クリスマスにワクワクしなくなったのはいつからだろう。大人になってから? 結婚してから? それとも子供ができてから? もっとオッサンだってクリスマスを楽しんでいいはずじゃない? 家族のためだけじゃない、オッサンがクリスマスシーズンと聖夜当日を楽しみ尽くすためのヒントをご紹介します!
絵本は子どものためだけのものではない。ピュアな感受性さえあれば、オッサンでも感動するのだ。
果たして自分には汚れなき童心が残っているのか。今年のクリスマスはこれを検証できる珠玉の1冊に出会いたい。
各書店ではフェアが実施される(写真は丸善 丸の内本店)
しかし、多すぎて迷う……(写真はクレヨンハウス)
絵本は年間1000冊以上の新刊が出るという。膨大な情報の中から狙いを定めるのは極めて難しい。そこで、プロである書店員にオススメの1冊を聞いた。
まずは、丸善 丸の内本店(丸の内)へ
超繁忙期にも関わらず取材に応じてくれたのは、児童書担当の兼森理恵さん。
「私のオススメはこれですね」
『聖なる夜に―A SMALL MIRACLE』(絵・作/ピーター・コリントン、BL出版、1404円)
<あらすじ>
主人公は貧乏なお婆さん。お金が底を尽きてしまったため、思案した末に大切なアコーディオンを質に入れてお金に替える。しかし、そのお金も泥棒に盗まれてしまう。がっかりして家に帰ったところから、聖なる夜の奇跡が始まるーー。
「文章がなくて絵だけの絵本。絵柄はシリアスなんだけど内容はコミカルというギャップが面白い。お婆さんの部屋の中の様子とか細かいところまで描き込まれていて、男性はこういうのが好きだと思います。絵だけなので自分のペースで読めるのもポイント。もともと、ピーター・コリントンが大好きで、大真面目に絵本で遊んでいるなあと感動した1冊です」
続いて訪れたのはクレヨンハウス(表参道)
子どもの本売り場の馬場里菜さんが、「どうしよう、1冊に絞れない……」と言いつつもセレクトしてくれた。
「子どもの頃の気持ちを思い出させてくれる作品なんです」
『急行「北極号」』(1620円 あすなろ書房 絵・作/C.V.オールズバーグ 訳/村上春樹)
<あらすじ>
サンタクロースの鈴の音を聞こうと、イブの夜に寝ないで起きている男の子。そこに聞こえてきたのは「しゅうっ」という蒸気の音と「きいいっ」と金属がきしむ音。謎の急行「北極号」に乗り込むと、汽車はサンタの街がある北極点へと向かうーー。
「寝ないでサンタさんを待った記憶のある大人の方に読んでもらいたい絵本。主人公はサンタなんていないという友だちの主張を受け入れず、絶対にいると信じている男の子。大人になるとサンタの鈴の音は聞こえなくなってしまうけれど、こころから信じていれば大人になっても鈴の音は聞こえるんです」
ラストはブックハウスカフェ(神保町)
店長の茅野由紀さんが、大人にも人気の1冊を紹介してくれた。
「これはけっこう泣きました」
『ひゃくおくまんのサンタクロース』(1620円 アノニマ・スタジオ 作/もたいひろこ 絵/マリカマイヤラ)
<あらすじ>
昔はサンタクロースが一人しかいなくて、がんばって子どもたちにプレゼントを配っていた。しかし、子どもの数が増えるにつれて一人で配り切ることも限界に。そこでサンタクロースは神様に「私を二人にしてください」とお願いするーー。
「『サンタさんって本当にいるの?』と聞かれて困ったときにぜひ読んでください(笑)。子どもの数が増えるにつれてサンタさんも増えていくという話なんですが、そのたびに体の大きさも毎回半減していく。そして、最後のオチがじんわり来ます。出版元のアノニマ・スタジオさんの装丁もとっても素敵ですね」
オッサンに届け、クリスマス絵本のプレゼント
達人がオススメしてくれた3冊を実際に読んでみた。共通しているのは、誰も不幸にならないストーリー。さらに忘れかけていたクリスマス特有の多幸感が、日々のあれやこれやで疲れているオッサンの心をやさしく包み込む。ああ、そうだ。絵本ってこういうものだった。
号泣とまではいかないが、読んでよかった。しみじみと、そう思えた。サンタを待つ側からサンタになる側になった今も、絵本は「ささやかだけど大切なこと」を教えてくれるのだ。
取材・文/石原たきび
【取材協力】
丸善 丸の内本店
https://honto.jp/store/detail_1572000_14HB310.html

クレヨンハウス
http://www.crayonhouse.co.jp/shop/c/c

ブックハウスカフェ
https://www.bookhousecafe.jp



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