流行りばかりを追いかけていた昔と違い、オッサンとなった今は普遍的なモノの良さも分かるようになってきた。40代も半ばに差し掛かってきた種さんも、年相応のクラシカルな服が気になっているとか。
とはいえ、渋さを演出しているつもりが老けを促進している危険性も。その確かな処方箋を種さんの着こなしに見つけた!
「種カジのタネあかし」を最初から読む歳を重ね漂い始める“枯れ感”。そこへ、クラシカルな“枯れた服”をまんま合わせてしまえば枯れの2乗で一気に老け込んで見えるからご用心。種さんは、そうならないためのポイントを「フレッシュで自分らしい選びとこなし」と説く。
よく見ればコートはカラーレスで今っぽいし、起毛感のある素材も今の空気にマッチしている。ワイドパンツはというとコーデュロイがトレンドだが、あえてドレッシーなベロアをチョイス。そして、ほのかに香る種カジらしいリラックス感は、他ならぬバンドTシャツやつば広のキャップに秘密があった。
クラシックは往々にしてルールにとらわれがち。自分らしさはどこかに盛り込みながら、気にせず自由に合わせるのがどうやらクラシックを古臭くも普通にも見せないヒケツといえそうだ。
アルパカヘアを使用し柔らかに仕立てたコート。こちら、日本の伝統産業である尾州の毛織物製。いわば、これも立派なNIPPONのクラシックである。既成のルールに囚われないMIX感覚こそ、種カジの真骨頂。
種さんの中で“きている”英国ブームはなんと香りまで。トーフ(愛犬)の臭い消しとして部屋で愛用している、ケネス ターナー ロンドンのアロマキャンドルは言わずと知れた英国王室御用達。優しい香りやラッキーチャームの蜂がのった蓋もいい。
インナーは種さんが大好きなバンドのマッシヴ・アタックのTシャツ。スタイルのいいハズしになると採用しているが、実は、11月の来日公演をずっと楽しみにしていたという、高ぶる気持ちの表れでもあった。
聞けば、そのルーツは他ならぬイギリス人にあるとのこと。以前、仕事でロンドンを訪れたときに見かけた、クラシック服を自由に着こなす英国オッサンがすごく格好良かったのだとか。
もしかしたらマッシヴ・アタックのTシャツとクラークスはイギリスつながり!? そんな芸の細かい種さんの着こなしからは、自由な遊びを受け入れるクラシックの懐の深さを感じるな〜。
PROFILE
たねいちあきら●1972年生まれ、東京下町出身。サーフィンを愛する海男。長年勤め上げたビームスを退社して、現在は心機一転、フリーランスとしてブランドのコンサルティングやプロダクトのディレクションなどを手掛ける。種カジのこぼれネタがポストされるインスタグラム(@taneichiakira)もチェックしよう!
山本 大=写真