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今回の場合「全面にディスプレーを配置する」というデザインから出発した。その実現のためには、有機ELを採用して内部で折り曲げて内蔵するアイデアの特許を取り、ホームボタンを廃止してジェスチャーに置き換え、Face IDに至ってはTouch IDが搭載された5年前からの研究開発の成果を投入した。その生体認証を実現するため、機械学習に長けた強力なA11 Bionicプロセッサーが用意された。
アップルは、iPhone 10周年の年に当たる2017年に、こうした新しいチャレンジが詰まったiPhone Xがリリースできたのは、偶然の一致だったと強調する。

iPhone Xが次の10年を作っていく

実際にiPhone Xを日常の中で使ってみるまでは、ホームボタンがないiPhoneが、今後のスタンダードになり得るのかどうか、疑問を持っていた。確かにコンパクトで大画面を実現するスマートフォンは、モバイルでビデオを楽しむ世代にはぴったりだが、本当にこの姿で次の10年を突き進むのか、自信が持てなかった。
しかし、アップル社内でもさまざまなチームが連携してチャレンジを乗り越えて実現したiPhone Xに実際に触れてみれば、このまま10年を作っていく可能性を、十分に感じることができた。
2017年モデルとしてのiPhone Xは、プレミアムモデルとの位置付けで、価格も最も高い。ただし、iPhoneの次の10年を見るうえでは触れてみるべきだし、今までの10年を忘れてしまうほど、手に馴染む快適な1台となるだろう。
著者:松村太郎(ジャーナリスト)
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記事提供:東洋経済ONLINE


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