「よく働き、よく遊ぶ」「海と街」「父として男として」、そんなグッドバランスに生きる大人たちの日常に寄り添うモノたち。反射的に心を奪われ、末永く愛することのできる、そんなアイテムを紹介する全2回の短期連載。
前編は、寒さから身を守り、大人としての面目も保つ冬の必携アウターを。
「グローバルワーク」のメリノウールチェスターコート
「オトナ」以上、「ジィサン」未満。コーヒー豆を挽いたり、一眼レフカメラを始めてみたり。かつてシラけて見ていた「オッサンの枯れた趣味」に、いつの間にか足を踏み入れている自分がいる。この千鳥格子柄も「オッサン柄」なんて思っていたけれど、いつものスウェットパーカに羽織ってみたら案外いい感じ。
そう、クラシックなモノゴトは、ただ古いだけにあらず。想像していたよりも自由で器が大きいものなんだ。
「ビームス プラス」のスエードブルゾン
あの頃の憧れが似合う年になってきた。武骨で、男性的で、荒削りなものへの憧れ。ファッションに目覚めた頃に頭をガーンとやられ、それ以来追い求めていたやつがいよいよ似合う年齢になってきた。
聞けばこのブルゾン、1950年代に多くのブランドからリリースされていたスエードジャケットがモチーフとか。厚手のカウスエードなんて、まさに思い描いていたタフネスそのもの。そして、表情とか佇まいとか、男とは、とか。くだらないけれど真剣にそんなことへ想いを巡らせながら、これをいかに“自分のもの”にしていけるかが大切だ。
「タトラス」のダウンジャケット
温もりの連鎖は、愛の連鎖。冬の温かいものは人をじんわり幸せにしてくれる。湯気いっぱいのスープ、ちょっと熱めの風呂、そしてダウンがたくさん詰まったアウターとかね。
ダウンウェアで人気のブランド、タトラスの新作は、名門生地商ロロピアーナ自慢の高級素材、スーパー150’sシルク混ウールをシェルに採用している。そして、今季からキッズ向けのダウンウェアも始まったという。
子供は風の子などとはいうけれど、同じ温かさを共有できることを考えると、心の芯までほんわかしてくる。
「CSケーススタディ」で見つけた“メゾン フランネール”のウールコート
オーシャンズは月明かりも冬の寒さも得意なんです。「爽やか」「海が似合う」「夏が得意」。オーシャンズな人たちって、そんなイメージがあるんじゃないかと。ただ、実のところそれだけじゃない。
冷たい風が頬をなでる冬の夜、薄暗い月明かりの下では、シックな雰囲気を纏い凛とした佇まいを見せる。モダンなデザインにクラシックなチェック柄が映えるコートを羽織り、両手をポケットに突っ込んでもどこか上品。光と影、その間のグラデーションまでも楽しめる振れ幅も、彼らにはあるんだ。
「ケープハイツ」のダウンジャケット
季節を遊べる男でいたい。変わらずそこにあるのが自然、二度と同じ景色がないのも自然。ただそこに居合わせて、感動できるゆとりを持っていたい。そのためのツールとして、雨や寒さを気にせずガシガシと着られるタフなダウンジャケットは欠かせない。
そんな時、本物志向で、今の感覚にもこだわる三角マークのブランドは頼もしい味方になってくれる。環境も服も長く付き合っていけるモノゴトには、安心感のあるベーシックと、心揺さぶるちょっとの変化が必要なんだ。
無駄に歳を重ねてきたわけじゃない。いろいろ見て、聞いて、身につけてきた大人だからこそ分かることもある。これらのアウターは、そんな大人たちの琴線にきっと響くんじゃないだろうか。
岡田 潤(bNm)=写真 菊池陽之介=スタイリング yoboon=ヘアメイク