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これまでにないジャンルに根を張って、長年自営で生活している人や組織を経営している人がいる。「会社員ではない」彼ら彼女らはどのように生計を立てているのか。自分で敷いたレールの上にあるマネタイズ方法が知りたい。特殊分野で自営を続けるライター・村田らむと古田雄介がその神髄を紡ぐ。
四半世紀以上の間、メジャーレーベルとインディーズレーベルを渡り歩いて活動しているロックバンドがある。1989年に名古屋で結成したフラワーカンパニーズだ。これまでミニアルバムを含めて通算18枚のオリジナルアルバムをリリースしており、2015年12月には初の武道館ワンマンライブを成功させた。近年では『深夜高速』(第1期インディーズ時代)が広く知られる。
メンバーは鈴木圭介(ボーカル、48歳)、グレートマエカワ(ベース、48歳)、竹安堅一(ギター、47歳)、ミスター小西(ドラムス、47歳)の4人。中学と高校の同級生同士で組んでおり、これまでメンバーチェンジや活動休止は1度もない。
ブルースロックやパンクロックなどが組み合わさったバラエティに富んだ楽曲に、内省と自虐が深掘りされた詩世界が融合した独特の魅力は、全国津々浦々のライブを通して年代を問わずコアなファンを獲得し続けている。
しかし、何万何十万の動員が見込めるようなロックスターではない。メジャーレーベルで契約解除の憂き目を見たりもした。自らバンドヒストリー本の表紙に「活動休止なし! ヒット曲なし!」と書くように、ヒットチャートを頂点近くまで駆け上がった経験もない。
スターになるか夢破れて散るかの二者択一なのか?
それでも上記のとおり、長年実績を積み上げている。ボーカルの鈴木さんは「消えぞこないでも立っている」「燃えカスになってくすぶり続けていく」と、自虐に逃げずに自虐を歌う。
そして、そのしぶといバンド活動を中心で支えているのが、ベースでありバンドリーダーのグレートマエカワさんだ。第1メジャー期以降、バンドの金銭管理も担当するようになり、ライブやツアーのブッキング、グッズの企画や販売、広報戦略を含めたバンド運営の要を一手に担ってきた。2008年からは株式会社フラワーカンパニーズを設立し、その代表取締役にも就任している。ほかの役員はメンバー3人だ。
ロックバンドはスターになるか夢破れて散るかの二者択一なのか。そうではない生き様を証明し続けるバンドを牽引するマエカワさんに、これまでの半生を振り返ってもらった。そこから見えてきた「最適化」というキーワードは、職種を問わず生きるものがあると思う。
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