オーシャンズ11月号はニューヨーク特集があるということで、本企画も今回はニューヨーク・サウンドでまとめてみました。基本的にニューヨーク出身もしくはニューヨークが拠点のアーティストの曲で構成されています。
「オーシャンズコンピ」を最初から読む一曲目にスティーリー・ダンのナンバーを選んでいるのは、ウォルター・ベッカーへのオマージュ。この曲から始めたので全体にブルージーでちょっと落ち着いたトーンの選曲になりました。流れでオルタナティヴ・ロック系が入れられませんでしたが、そちらもソニック・ユースをはじめ色々ありますね。
#1. Home at Last / Steely Danスティーリー・ダンはニューヨークの大学でウォルター・ベッカーとドナルド・フェイゲンが出会うところからはじまります。名盤『Aja』に収録のこちらはブルージーな雰囲気がたまらない一曲。ウォルター・ベッカー追悼の意を込めて。
#2. 52nd Street / Billy Joelやはりニューヨーク出身のビリー・ジョエル。グラミー賞を受賞した1978年のアルバムから、前の曲、「Home at Last」からのつながりも完璧なタイトル・チューンを選んでみました。ジャズ~フュージョン系ミュージシャンが多数参加しています。
#3. Jah Jah’s Call / Bullwackies All Starsレゲエというとジャマイカ、あるいはUKレゲエの印象が強いと思いますが、なかなかどうしてニューヨーク・レゲエも最高だったりします。ニューヨーク拠点の老舗レゲエ/ダブレーベル「Wackies」のダブ・アルバムからのキラーな一曲。
#4. Drugs / Talking Headsトーキング・ヘッズもニューヨークを代表するバンドのひとつと言えるでしょう。アフリカン・ミュージックのポリリズムに大きく影響を受けた1979年のアルバム『Fear of Music』に収録されている、トリッピーなムードが最高なこちらをどうぞ。
#5. All Tomorrow’s Parties / The Velvet Underground & Nicoそして忘れちゃいけないヴェルヴェット・アンダーグラウンド。ご存知バナナのジャケットの1stアルバムから「All Tomorrow’s Parties」を選んでみました。ドラッギーな演奏に夢見心地でいると、突然曲の終わりが訪れてちょっと寂しい気持ちになります。
#6. Ocean Movie / Arthur Russell現代音楽とアンダーグラウンド・ディスコを股にかけて活躍したチェロ奏者アーサー・ラッッセル。彼はアイオワ出身ですが、長らくニューヨークを拠点にしていました。こちらは1982年から83年の録音をまとめたアルバムからのアヴァンギャルドな一曲です。
#7. Don’t Make Me Wait / NYC Peech Boys個人的にニューヨーク・サウンドといえば、ラリー・レヴァンがレジデントDJを務めていた「パラダイス・ガラージ」でかかっていた、ガラージ・クラシックス。この曲はラリーがプロデュースも担当した極上のガラージ・チューン。グループ名も最高です。
#8. The Message / Grandmaster Flash & The Furious Fiveブロンクスのブロック・パーティーから始まったヒップホップの歴史の最初期に位置付けられるオールドスクール・ヒップホップの名曲。この時代のヒップホップ~ラップはディスコからの影響も大きいのですが、こちらはタイトル通りメッセージ性の強い曲。
#9. She Don’t Really Care_1 Luv / Alicia Keysニューヨーク出身のアリシア・キーズの2016年のアルバム『Here』は、ニューヨーク愛が詰まった一作。この曲では、60年代から活躍するレジェンド、ロイ・エアーズがヴィブラフォンで参加しています。控えめなトラックに歌が映えますね。
#10. Halloween Parade / Lou Reedラストはルー・リードの1989年のアルバム『New York』から、柔らかなトーンのサウンドにルー・リードの歌というよりはポエトリー・リーディングがのるこちらを。もう少しするとハロウィン! この曲を聴いて待ちましょう。
<プロフィール>青野賢一1968年東京生まれ。ビームス創造研究所 クリエイティブディレクター、ビームス レコーズ ディレクター。ファッション&カルチャー軍団ビームスにおける“知の巨人”。執筆やDJ、イベントディレクションなど多岐にわたる活動を展開中。