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2017.09.30

あそぶ

「小型船舶免許」10万円以下!大海原の自由気ままな世界とは?

年齢を重ねると、新しく何かを身に着けることが億劫になってくる。しかし、好奇心を失えば、視野や可能性は広がらない。あえて未知なるジャンルに挑むことは、人生をより豊かなものにしてくれるはずだ。そこで、目を付けたいのが「資格」。オッサンの日常に彩りや潤いを与え、さらには将来にも役立つ。“新境地”を切り拓く、資格の世界を覗いてみよう。
どんなジャンルであれ、「資格」を得るには相応の学びや訓練が必要だ。ましてや、「免許」となれば、より高度な知識、技術が求められるだろう。しかし、それだけに挑戦のし甲斐もありそうだ。
アレコレと調べているうち、目に留まったのは「小型船舶免許(ボート免許)」。永ちゃん(矢沢永吉)や若大将(加山雄三)も持っているというアレだ。船を操り、大海を駆ける。おお、男のロマン!
というわけで、ロマンを求めてマリーナへ向かった

小型船舶免許は2種類、その違いは航海制限の有無

やってきたのは千葉県浦安市の「浦安マリーナマリンサポート」。東京湾をフィールドに、小型船舶免許のスクールから免許取得後のレンタルボート、ボート・ヨットの販売などを行っている。
まず、「小型船舶免許(ボート免許)」とはどんな資格なのか? スクールの講師も務める村川直己さんに聞いてみた。
「小型船舶免許と呼ばれるものは、『二級小型船舶操縦士免許』と『一級小型船舶操縦士免許』の2種類です。ともに、総重量20トン未満の船舶を操縦することができます。一級と二級の違いは、一度の航海で移動できる区域。二級は沿岸から5海里まで、一級は無制限となっています」(村川さん、以下同)
こちらは定員7名の「ボーナム26LⅡ」。小型船舶免許で乗れる船としては、これでも小さいほうだという
なお、5海里は10km。浦安のマリーナから出発した場合、東京湾全域、館山、湘南あたりも航海区域に収まる。東京湾から先の大海原を目指すには一級が必要だが、二級でも十分楽しめそうだ。
「海釣りや仲間内でバカンスを楽しむ程度であれば、二級でいいと思います。というのも、一級は学科試験が難しく、ハードルが高い。マリンサポートでも学科講習を含むコースを用意していますが、それとは別に予習・復習をみっちりやっていただく必要があります」
二級は講習を受ければ高確率で合格でき、独学でもなんとかなるレベル。しかし、一級は海図の見方やエンジンの構造など、深い知識が必要になるという。5海里以上の航海は、時に大きな危険が伴う。遭難やエンジントラブルに対処するためのスキルが求められるのだ。
こちらが海図。水深、底質、海岸地形など、航海のために必要な情報が書き込まれている

最短1日で取れるスクールも! ただし、操縦は陸路とは違う集中力が必要

ちなみに、実技の試験内容は一級、二級とも全く同じ。マリンサポートのようなスクールで1時間程度の講習を受け、後日、本試験に臨む流れが一般的だ。自動車の講習に比べると圧倒的に練習量が少ないが、大丈夫なのだろうか?
「操船自体は、それほど難しいものではありません。船は常にドリフトしているような状態で走行しますが、慣れてしまえば簡単。普通自動車の免許を取れた方なら、講習をしっかり受ければ問題なく合格できるはずです」
ただし、操船技術が身に着いたからといって慢心は禁物。海には、陸とはまるで異なる危険が潜んでいる。
「海は陸路と違い、これといった交通ルールがありません。自動車なら、道の上をルール通りに走行していれば、突発的なアクシデントがない限り事故は起こりませんよね。しかし、海にはその道すらなく、どこを走ってもいいんです。だからこそ、難しい。道がないと、みんな最短距離の同じルートを走るんですよ。そのため、あれだけ広い海でも衝突事故が起こってしまう。大きい船にうっかり近づくと引き波に巻き込まれますし、漁師の網を引っかけないようブイなどに注意する必要もあります」
交通量は少ないが、船舶同士の衝突事故も珍しくない
ある意味、陸路以上に集中力が必要なのかもしれない。海は自由だからこそ、航海には自己責任が伴うのだ。
「ただ、安全な走行さえ心がければ船は本当に楽しいですよ。レンタルボートを1日借り切って東京湾を周遊したり、魚群探知機を使って釣りをしたり、横浜のベイサイドマリーナにご飯を食べに行ったり。釣りに飽きたら、ふらっと房総あたりまで行って海の幸を堪能するとか。海には渋滞もなく、気の赴くままに移動できます。たとえば、内房の保田に漁協直営の『ばんや』という食堂があるんですが、豪華な鮮魚のフルコースが低価格で味わえておすすめですよ」
うん、それは楽しいでしょうなあ……。これは、是が非でも欲しくなってきたぞ、船舶免許。なお、費用は一級が総額8万1150円、二級が総額7万1150円となっている(浦安マリーナマリンサポートの場合)。俄然モチベーションが高まったところで、後編では実際の実技講習についてレポートしたい。
取材・文/榎並紀行(やじろべえ)
【取材協力】
浦安マリーナマリンサポート
http://www.marine-support.jp/index.html
 


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