時代を超えてなお愛され続け、名作と呼ばれる革靴には、やはり愛されるべき理由がある。
最たるところでは、長年培ってきたブレない部分を大切にしながら、進化も辞さない大胆さを合わせ持っているところ。
まさに、職人たちのたゆまぬ努力の結晶である。いい大人なら覚えておきたい、そんな名靴をご紹介。
CLARKS ORIGINALS クラークス オリジナルズ
渋カジブームの台頭で沸いた青春時代。英国ブランドのクラークスには手を伸ばしたっけ。「デザートブーツ」はそうだけれど、1966年に誕生し、’71年に日本へ上陸した「ワラビー」も忘れえぬ一足。時代の推移を見るにつけ、今だ衰えぬその勢いには恐れ入る。’90sブームが再来した昨今、改めて履きたい一足だ。
BERLUTI ベルルッティ
ベルルッティといえば、なんと言ってもこの奥行きのある色合い。透明感のあるヴェネチアレザーに何度も色を重ね塗りする伝統技法、パティーヌのなせる技だ。モダンなフォルムが特徴の「アレッサンドロ スパダ」は、真っ白なシャークソールが彩りをいっそう際立たせている。
J.M. WESTON ジェイエムウエストン
ファンからは「シグニチャーローファー 180」とフルネームで称えられる、言わずと知れたブランドの“顔”。このローファー界の王様的存在は、’46年の初登場以降、一度もフォルムを変えずに作られているのだ。その事実が、完成度の高さを如実に物語っている。
JALAN SRIWIJAYA ジャラン スリウァヤ
1919年、インドネシアに誕生した同ブランドも、今や2017年秋冬シーズンだけでさまざまなブランドやセレクトショップから別注依頼が殺到する人気ブランドに。その数は“15件、50型”にも及ぶ。中でもこの外羽根プレーントウの「98651」は、履き心地や品質、デザイン、価格のバランスが特に秀逸な引っ張りだこの逸品だ。
CHURCH’S チャーチ
「シャノン」は、英国らしいカントリー風のフォルムとプレーントウで、シーンを選ばず使えると多くの大人たちの足元を支えてきた。映画『007 慰めの報酬』でジェームス・ボンドが履いていたのはあまりにも有名。「シャノンC」はその新作。快適なラバーソールと上品なダークブラウンが魅力だ。
SANDERS サンダース
サンダースの「ブリットチャッカ」。こちらにも同ブランドの象徴である、ソールとアッパーのつなぎ目部分をラバーで覆ったマッドガード製法が採用されている。だから水や埃の侵入も気にならない。飾らない素朴なルックスとシックなブラウンスエードもまた、大人好みじゃないの。
名作と呼ばれる革靴には、その理由に裏打ちされた有無を言わさぬ説得力がある。一足持っているだけで、大人としての威厳や格が備わったような気持ちになり、不思議と背筋を正してくれる。大人が履きたい革靴とは、つまりこういうことなのかもしれない。
鈴木泰之=写真(静物) 武内雅英=スタイリング