日本生活習慣病予防協会によると、「慢性的な不眠」に悩まされているのは日本人の5人に1人。読者のなかにも「最近寝つきが悪くなった」「早朝に目が覚めてしまう」など、“睡眠”にまつわる悩みを抱えている人がいることでしょう。果たして睡眠の質を高めることはできるのでしょうか? さまざまな角度で検証していきます!
「たのしい睡眠」を最初から読む安眠を得るためには、自分に合った寝具を選ぶことも重要です。最近は、睡眠時の身体の動きを分析して設計したり、ハイテク新素材を使ったりと、寝具の進化はめざましい様子。そこで、睡眠環境プランナーの三橋美穂さんに、2017年に注目の寝具を語ってもらいました!
ブルーのジェルが新感覚! 身体を三次元で包み込む「テクノジェルマットレス」
「9月1日発売の最新マットレスです。もともとはイタリア発の医療用素材として開発された『テクノジェル』というやわらかいジェルが内部に敷き詰められ、どんな体勢でも圧力を吸収してくれます。一般的なマットレスに使われるウレタンなどの素材は『上下方向』にのみやわらかいのですが、テクノジェルは上下に加え『左右方向』にもやわらかい性質を持っているのが特徴です。また、体圧を上手く分散して、筋肉や関節に負担を掛けないように設計されているので、寝返りも打ちやすいんです。さらに、通気性も良くなるように工夫されており、寝心地も快適ですよ」
24万5000円~34万5000円/ディーブレス
https://www.technogel.jp/ぷにょぷにょがクセになる! 癒しのパーツ搭載枕「ファインレボピロー I・FIT」
「30年耐久素材の『ファインレボ』が入った枕です。人工透析チューブにも使われているこの素材は、樹脂や口紅などに使われているオイルの複合体。実際に触ってみるとぷにょぷにょした感触で心地良さを実感できます。中央部と端部で高さを変えており、仰向きでも横向きでも寝やすい形状です。また、部位ごとにカットができる厚さ5mmと10mmのシートも付いていて、31通りの組み合わせを作ることができ、自分の頭の形や寝方に合った枕に調整が可能。オーダー品のように“自分仕様”にできる優秀なアイテムですね」
さらりカバー 1万8000円、ふわりカバー 2万2000円/ASLEEP
http://www.aisin-asleep.com/products/making/i-fit.htmlユニークな形状で首から肩を安定してサポートする「スマートフィット ピロー」
「医療用寝具を手掛ける『パラマウントベッド』が開発した、中央に凸型のショルダーサポートがある珍しい形の枕です。枕はフィット感が重要で、自分に合わないものを使っていると首の筋肉に余計な力が入ってしまいます。朝起きたときに疲れがとれていないと感じてしまうのは、睡眠中に身体がリラックスできていないことが原因かもしれません。この枕は、枕全体の高さは横向き姿勢にフィットし、仰向けの際はショルダーサポートが首から肩を支えてくれます。また、素材にも特徴があり、頭に触れる部分はやわらかいポリエステル粒綿、中間には高密度かつ、ソフトなウレタンフォームを使用。やわらかいうえに、頭も転がりやすい形状になっているので、自然な寝返りが打てるんです。さらに、消臭繊維を使用しているので、頭皮のイヤな臭いが枕に残らないのも爽快ですよ」
1万9500円/PARAMOUNT BED
http://intime.paramount.co.jp/item/pillow/天然羽毛に迫る寝心地!? “洗うため”に誕生した掛け布団「ランドリーム」
「かさばりがちな掛け布団は、家庭用の洗濯機で洗うのが難しいですよね。この『ランドリーム』はそんな悩みに応え、『家で洗濯すること』を考えて開発されています。掛け布団そのものが洗えるためカバーをかける必要もなく、付属のネットに入れればコンパクトになるので、一般的な家庭用洗濯機でも問題ありません。さらに、速乾性も抜群。脱水後、3時間弱で乾きます(脱水後に温度23℃ 湿度27%の室内で広げて吊干しした場合)。布団の中綿は、天然羽毛の特性に近い『エアーフレイク』という新素材を使っています。軽くてふわふわした感触は、ぜひ一度触れてほしいですね。また、ホコリも出にくいので、小さいお子さんがいるご家庭にもおすすめです」
2万3980円/クラボウ楽天市場店
https://item.rakuten.co.jp/kurabo/00001伝統的な木綿製造技術を応用した、和さらし加工のガーゼケット「cumuco」
「愛知県三河地方に江戸時代から伝わる、木綿の加工技術『和さらし』を応用して作られたガーゼケットです。和のやわらかさを感じる色味も素敵ですが、その魅力はなんといっても心地よい肌触り。本来、糸の繊維は『円形』になっていますが、和さらしではこの円形の状態を保つよう、丹念に仕上げられます。素材が本来持っている『丸み』を生かすことで、軽く、やわらかな感触になるんです。また、粗い織り目のガーゼと細かい織り目のガーゼを6枚重ねていて、高い耐久性を誇ります。通気性、保温性も兼ね備えているため一年中使え、洗濯を重ねるほどやわらかくなっていく。使えば使うほど、手放せなくなるはずですよ」
6000円~9000円/公大
http://kohdai.co.jp/cumuco/これぞラグジュアリー! 最高額560万円のマットレス「KLUFT」
「世界最高級のマットレスブランドで、アメリカ老舗高級百貨店の『ブルーミングデールズ』のプライベートブランドでもある『KLUFT』が、今年日本に初上陸しました。世界中のセレブにもファンが多い同社の製品は、職人による高い製造技術とハイテクの融合により生み出されています。クラフトマンシップにこだわった受注生産で、熟練の職人たちが一つひとつ手縫いしているんです。そのため、生産数には限りがあり、価格も70万円から560万円とハイエンドになっています。何層にも重ねる天然素材は、天然カシミア、ホースヘアー(馬のたてがみ)、オーガニックコットンなどを惜しみなく使用。耐久性や通気性、弾力性など、すべてにおいて一流品です。値段に違わない、極上の眠りが手に入るはずですよ」
価格は要問い合わせ/KLUFT
https://kluftmattress-ja.com/ライフスタイルが多彩であるように、寝具にも豊かなバリエーションがあります。そうそう買い換えるものではないかもしれませんが、“最新”のものは、その驚くべき進化にビックリしてしまうでしょう。2017年も折り返し地点。自分に合った寝具を見つけて、よりよい睡眠を手に入れてみては?
(取材・文=末吉陽子/やじろべえ)
【取材協力】
三橋美穂(快眠セラピスト・睡眠環境プランナー)
寝具メーカーの研究開発部長を経て、2003年に独立。全国での講演や執筆活動のほか、寝具や快眠グッズのプロデュース、ホテルの客室コーディネートなども手がける。著書に『驚くほど眠りの質がよくなる睡眠メソッド100』(かんき出版)ほか多数。
http://sleepeace.com/