当記事は、「東洋経済ONLINE」の提供記事です。元記事は
こちらから。
「フランス人は、なんであんなに長く休めるの? 私だったら何をすればいいかわからないし、仕事にも復帰できない!」。東京で働いていた頃、日本人女性の同僚が腹立たしそうに言い放つのをよく聞いた。どうやら、日本人からすると、フランス人が夏休みをあれだけ長く取る意味がわからなかったようだ。
フランスをはじめ、ヨーロッパの南西部を訪れたことがある人なら戸惑ったこともあるだろう。日曜日や休暇中の独特な空気感。朝から町を歩いてみても、お店は全部閉店。車も人もほとんど通らない。静かな風景の中で、まるで時間が止まっているようだ。ノンストップに動き続ける日本人からすれば、オンとオフがはっきり分かれているフランスの町の風景は、相当不思議に見えるだろう。
フランス人の私ですら、日本に数年間住んでから帰仏したときに、自国の特殊な生活リズムに逆カルチャーショックを受けた。たとえば、夜遅くに友達の家のホームパーティに手ぶらで出掛けたものの、近所のスーパーが夜7時に閉店していて、困ったことが何度かあった。日本の年中無休のコンビニに慣れていたので、うっかりしていた。
フランス人はどんな休み方をしているのか
フランスには、祝日が年間11日あり、法律で決まっている有給休暇は30日である。学校の年度初めは9月なので家族を持つフランス人の多くは、学校の休みに合わせて、8月に休暇を取得する(家族がいない場合でも、社員を8月に強制的に休ませる会社が多い)。
実は祝日の日数でいうと、日本のほうが多い(日本は年間15日)。しかも、土日と祝日が重なった場合、日本では振り替え休日になるため(フランスには振り替え休日はない)、フランスに比べて、3連休も日本のほうが多い。つまり、フランス人が夏に「とことん」休むのに対して、日本人は1年を通じてちょこちょこと休んでいることになる。となれば、当然、休みに対する考え方も違ってくるだろう。
では、フランス人は休みにいったい何をしているのだろうか。日本人にとっていちばんなじみがない「バカンス(長期休暇)」を例にとってみよう。
といっても、バカンスのパターンもさまざまだ。フランス人の場合、飛行機に乗って何週間も海外旅行に出ることがよくある。私自身も最近、3週間近くカリブ海にあるフランスの海外県であるマルティニークと、グアドループへ旅行してきたばかりだ。そのほかにも、その日の気分で、車中泊をしながらヨーロッパの隣の国へ移動するスタイルも好きだ。実際に愛車のボイジャーでスペイン、ボスニア、ノルウェーやスコットランドなどを訪れることもしばしば。
2/5