OCEANS

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海が人間関係をリセットしてくれる。
しがらみの多い自分を解放する男たち

一宮町のビーチには芸能人もしばしば訪れる。また、いわゆる「先生」と名のつくような地位の高い職業の人も多くやってくるという。
都会から離れて周囲の目を気にしないでいい環境ということもあるが、そもそも波の上では地位も身分も関係ない。誰でもが平等に波を楽しみ、己の技術を高めていく場所だ。有名だろうが、偉かろうが、マナーを守らなければ怒られるし、うまくできたら褒めてくれる。
しがらみの多い立場だからこそ、平等に接してくれる人たちに囲まれることで自分を解放しているのかもしれない。

また、40代のオッサンでサーフィンを始める人は中間管理職が多いという。そういう人たちにとってサーフィンはこの上ないストレス解消法なのだ。
ボードに座って、ひたすらいい波が来るのを待つ。そして来た瞬間に、足を裁いて水の上を滑っていく。その数秒から数十秒の間、頭の中は真っ白になる。
組織や人間関係のしがらみを簡単に打ち消すことはできないことは、大人になればなるほど痛感する。だからこそ、一瞬でも頭の中を真っ白にすることができるなら、どれほどの救いになるだろう。サーフィンを始めたオッサンたちはその快感を求め続けているのかもしれない。

太っているか、痩せているかではない。
締まっているか、締まっていないかだ。


サーファーはみんな「いいカラダ」をしている。マッチョな人はほとんどいない。しなやかでハリのある体つきで健康的な褐色肌な人が多く、男女ともにセクシーな印象を与える。
その体つきはやはり波の力の影響が多いのだろう。スイミングをダイエットに取り入れる人も多いが、サーフィンはさらに波の圧力に晒されている。またボートの上にバランス良く立っている体幹も必要だ。続ければ続けるほどバランスのいい筋肉がついていくのだろう。
かつてCHPのスクールに、30代でサーフィンを始めた女医がいた。彼女はやせ形で体も小さく、最初は15分も経てば疲れて休憩をしてしまうほどだった。しかしサーフィンの魅力にとりつかれ毎週のように一宮町に来るようになって、10年経った今では最新のショートボードを楽々と乗りこなしているという。
太っている人も、もちろんいる。しかし、たるんでいる人はほとんどいないのである。そう、「締まっている」カラダ。それこそオッサンの求める理想の体型ではないだろうか?
サーフィンは、楽しみながら理想のカラダを手に入れることができるのである。


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