まったくゼロから金融資産が3000万円になり、
7000万円のマンションを買った“僕”がやってきたこと
聞きたい。でも、なかなか聞けない。オーシャンズ世代にとっては、その筆頭格ともいえるのが、「お金の話」なのではないでしょうか。同世代と飲みに行っても、実は意外にしないのが、お金の話。でも、もしかしたら、同世代でこっそりうまくやっているヤツがいるとしたら……。ちょっとうらやましい額の資産を持っていたりしたら……。
ということで、なかなか聞けそうにない話を、聞いてくることにした本企画。本日、登場するのは某社にお勤めの30代後半、会社員のSさんです。
Sさんは早くから投資や資産運用に関心があったといいますが、20代の若い頃は先立つものもなく、何もできなかったといいます。むしろカードローンで自転車操業していた時代もあったとか。
ようやく少しお金ができたところで結婚。きれいさっぱりまたゼロリセットに。このとき、30歳。ところが、ここから10年足らずで、Sさんの金融資産は3000万円超、東京の人気エリアに立つ7000万円台の高級マンションも購入。なんとも、うらやましいことになるのです。
Sさんに一体、何が起きたのか。これから全6回にわたって、Tさんが「こっそりうまくやっている」マネー運用術をご紹介していきたいと思います。
これは人には初めてする話、とSさん。飲みに行っても、やっぱりこんな話は聞けないのかもしれません。では、第1回を始めましょう。
新聞記者の記事よりも、元金融マンのブログ内容の方が深い
Sさんの最初の転機は、結婚後、「株ブログ」に出会ったこと、だと言います。
「某新聞のようなメディアは、エスタブリッシュメントの象徴のように言われていますが、いかに薄っぺらいか、ということを強烈に教えてもらえたんですよね」
もともと株や資産に興味があったこともあって、情報を検索しているうちに「株ブログ」にたどりついたのだそうです。中には、「クソブログ」もあったそうですが、一方で強烈に引き込まれていくブログがありました。
「元金融マンなのだと思います。玄人なんですよ。しかも、自分で投資している。だから、内容が本当に深い。ひとつの会社について極めて深掘りして解説がされていたりするんです。新聞記者って、投資は禁止されてますから結局、他人事でしょう。その点でも真剣味がまるで違ったんです」
3カ月、半年と読み続けていると、もう新聞は読まなくなってしまったそうです。株ブログの情報の濃さに慣れてしまったから。そして内部事情、一次情報と公開情報と合わせて立てられる仮説を読むと、銘柄がその通りに動いていったりするのを垣間見たのでした。
「よく、特定の人だけが知っている情報、なんてものを強みにしているサイトもあったりしますよね。でも、実はないんです、そんなの(笑)。だって実際、株ブログに、もっと詳しいことがオープンに書かれているんですから」
誰かの意見を真に受けて株を買うのはダサイ。投資の哲学を知る
こうしたブログ情報は、今も普通に見られます。信頼できる人がSNSでシェアしていたり、ツイッターでリツイートしているものを追いかけていくといいそうです。そして、株ブログで学んだのが何より、投資の哲学でした。
「100%当てられる人なんていない、ということです。だから、一番ダサイのは、あの人が言ってるから買ったのに、下がっちゃったじゃないか、というパターン。これだけは、口が裂けても言ってはいけない、と。たしかにカッコ悪いと思いましたから、なるほどなぁ、と思いました」
絶対にやってはいけないのは、人の話を鵜呑みにし、世間に惑わされ、誰かの意見を真に受けて行動してしまうこと。これが、後にSさんのモットーになります。
「今も覚えているんですが、あるとき金言がブログに書かれていたんです。“その株がなぜ上がると思ったのかを紙に書け。トイレの壁に貼って、毎日眺めろ”。要するに、このくらい自分でちゃんと腹落ちしてないといけないということです。もっとも、僕は本当に貼っちゃったんで、妻に投資の動向が全部ばれちゃったんですが(笑)」
人のせいにしない。自分でちゃんと納得する。そんな“かっこいい生き方”を知り、そのための取り組みをすることこそ、Sさんの投資活動の第一歩になるのです。
(第2回に続く)
取材・文/上阪 徹
1966年、兵庫県生まれ。アパレルメーカーのワールド、リクルート・グループなどを経て、94年よりフリーランスに。経営、金融、ベンチャー、就職などをテーマに、雑誌や書籍などで幅広く執筆やインタビューを手がける。著書に『成城石井はなぜ安くないのに選ばれるのか?』(あさ出版)、『僕がグーグルで成長できた理由』(日本経済新聞出版)、『職業、ブックライター。』(講談社)、『成功者3000人の言葉』(飛鳥新社)、『リブセンス』(日経BP)など。