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2023.08.17

ライフ

「ナイジェリアで釘だらけの棒を持った男たちに……」海外放浪歴18年、死を覚悟した恐怖体験3選



サハラの紛争地帯で地雷の埋まった道なき道を走る。カバとワニが生息する柵のないワイルドなキャンプ場で車中泊。ウガンダで夜中にタクシー乗ったら事故で気絶、頭から血を流して動かない妻ーー。

これらはすべて海外放浪歴18年のデザイナー、石澤義裕さんの体験である。

2005年から夫婦で世界を周り、2015年より軽自動車“Chin号”で、稚内から南アフリカまで往復ドライブ中。

今回は、猛暑でも冷や汗が出るようなエピソードを、一時帰国中の石澤さんに語ってもらった。
語り手は……
石澤義裕さん
石澤義裕●札幌市出身。2005年より、妻Yukoと移住先を探して世界一周中。スクーターや車で旅をするオーバーランダーで、海外放浪歴18年のデザイナー。2015年より軽自動車“Chin号”で地球横断中。その様子を綴った旅エッセイ『今夜世界が終わったとしても、ここにはお知らせが来そうにない。』(WAVE出版)を上梓。訪問した地域は120数カ国。

石澤義裕●札幌市出身。2005年より、妻Yukoと移住先を探して世界一周中。デザイナーとして生計を立てながら、スクーターや車で旅をするオーバーランダー。2015年より軽自動車“Chin号”で地球横断中。その様子を綴った旅エッセイ『今夜世界が終わったとしても、ここにはお知らせが来そうにない。』(WAVE出版)を上梓。訪問した地域は120数カ国。


こんにちは、石澤義裕ことヨシです。夫婦で18年間スクーターや車で世界を周ってきました。

あらゆる状況に出くわしてきましたが、今でも鮮明に思い出す、怖い体験を3つお話ししますね。

① ナイジェリアで国境通過後、棍棒を持った男たちに囲まれ……

ナイフで切った3本線は部族の印だとナイジェリア国境近くで誇らしく語る男。

「ナイフで切った3本線は部族の印」とナイジェリア国境近くで誇らしく語る男。


まずはナイジェリアの国境付近での出来事です。

ナイジェリアはイスラム過激派や反政府ゲリラもいるので、本当に危ないと言われている国。外務省の海外安全情報では、渡航中止勧告が出ています。

入国前には大使館方面から連絡も入るほどで、行きたくはないけれども南アフリカまで縦断するのに避けられない国でした。

しっかりと強盗対策をして、危険を避けるために田舎の国境を通過しました。ひと気のない細い山道をChin号で走っていたのです。そしたら10分と経たないうちに、左手の藪から男が急に現れて、「こっちに来い!」と手を振ってきました。

ナイジェリアではカメラを出すこと自体危険なのでほとんど写真が撮れず。こちらは別の国の山道を行くChin号。

ナイジェリアではカメラを出すこと自体が危険なのでほとんど写真が撮れず。こちらは別の国の山道を行くChin号。


物売りかと思って無視して通りすぎたら、すぐに右から100本くらい釘が刺さった棍棒を持つ男が出てきました。さらに、地面に丸太を転がす人も出てきて、そこにも無数の釘が刺されていました。

これはヤバい。過激派かもしれない。捕まったら殺される。このまま轢いて逃げてしまえ。でも丸太の釘を踏んだらパンクする……。

そんなことを0.01秒ぐらいで考えて、観念して止まりました。



数人の男たちに車を取り囲まれて、「窓を開けろ!」と言うので開けると「なんで逃げたんだ!パスポートを出せ!」とものすごい剣幕で怒鳴られて。

袋叩きにされるんじゃないか、Yukoは襲われるんじゃないかと、死を覚悟しました。

ところが彼らは私服の警察官。いわゆる検問だったんです。半べそをかきながら、「制服を着てください」「釘丸太で通せんぼはナシですよ」「もう少しで轢くところだったんですから」ってお願いして、強く強く握手して別れたんですが、しばらく体の震えが止まりませんでした。

その後も8kmごとに検問ですよ。ひどい日は24回も検問にあいました。これは我が家の世界記録です。生きた心地がしませんでしたね。



ナイジェリアといえば他にも怖い思い出があります。

交差点に入った途端、黄色信号になって、その瞬間、一斉に甲高い笛が鳴って、わーっとお巡りさん10人くらいに取り囲まれたことがありました。

「信号無視だ、罰金だ! 金を払え!」と全員がバラバラに怒鳴ってきて、「車を没収する!車から降りろ!」と引き摺り出されて運転席をジャックされました。ですが、彼らは軽自動車を見るのが初めてだったみたいで、運転できなかったんです。

その後、空き地に連れ込まれてカツアゲされたんですが、必殺技の“クレジットカード払い”でなんとか凌ぎました。

ナイジェリアは集団での詐欺や賄賂たかりが物凄くて、気が気でなかったですね。


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