「ナイキ名作スニーカー列伝」とは……1987年の誕生以来、
エアの可視化という一貫した開発コンセプトで進化し続けてきた「エア マックス」。このシリーズにスニーカーの歴史を変える、ある転機が訪れた。
「エア マックス 95」のデビューである。
この一足から始まったハイテクスニーカーブームを振り返ろう。
エア マックス 95(1995年)
社会現象を巻き起こした歴代最強モデル
何の世界でも同じことがいえるが、のちに“スタンダード”と呼ばれるプロダクトは、時代を先取りしている場合が多い。
ナイキのスニーカー史上、傑作のひとつに数えられるエア マックス 95も例外ではない。
誕生から26年経った今見ても古さを感じさせない革新的なデザイン。発売当時は物議を醸したが、爆発的な売上を記録することでスニーカーの常識を一変させた。
エア マックス 95を手掛けたのは、当時はまだ若手デザイナーだったセルジオ・ロザーノ。この一足を象徴するグレーグラデーションのアッパーは筋繊維をイメージしたもので、シューレースの構造はあばら骨を、アウトソールは背骨といった具合に、人体構造から着想を得てデザインしている。
アクセントとしてビビッドな黄色、ミッドソールの汚れを目立たせない黒の配色も見逃せないポイントだ。
エア マックスシリーズの特徴である「ビジブル エア」を前足部に初めて搭載。ミッドソールだけでなくアウトソールにも窓を設けることで、クッション性を高めている。
ハイテクスニーカーのブームを生み出したエア マックス 95は、異常なまでに人気を高めた。ゆえに“エア マックス狩り”と呼ばれる事件を各地で起こし、社会問題として度々ニュースで取り上げられた。
2/3