Watchの群像劇 Vol.48
2021.04.21
WATCH

ジャズの帝王とピアジェの腕時計に通ずる唯一無二のオリジナリティ

「腕時計と男の物語」とは……

ふとページを開いた雑誌に懐かしい顔を見つけた。

ジャズバーの特集。その一軒のオーナーとして登場していたのは、学生時代のバンド仲間だった。いい音楽と旨い酒、そしてこのご時世でも、ときにはライブも演っているようだ。

そうか、まだ音楽と向き合っていたか。こちらはプロを目指したが芽は出ず、ある日面白半分に作ったアプリが音楽関係者の間で思わぬ評判を呼んだことをきっかけに、一念発起して起業したのだった。だが当初こそ業界を変革するとまで意気込んだものの、しだいに情熱は薄れていった。

これが本当にやりたかったことか?そんな自問の日々に、今も変わらず音楽に情熱を傾けるやつの姿は眩しく見えたのだ。久しぶりに聴きたくなったのが、マイルス・デイヴィスの『ザ・マン・ウィズ・ザ・ホーン』だ。

マイルスについてふたりは真っ向から対立した。研ぎ澄まされたモードジャズを好んだやつに対し、僕は断然’80年代以降を主張した。当時6年間の沈黙を破り、新たな方向性を模索する帝王の葛藤と人間くささに魅かれたからだ。

モダン・ジャズの帝王と「ピアジェ」の腕時計に通ずる“唯一無二のオリジナリティ”
腕時計336万6000円/ピアジェ 0120-73-1874、ジャケット8万300円、Tシャツ1万9800円/ともにエズミ(リー デザイン 03-6447-1264)

腕にしたピアジェの「ピアジェ ポロ スケルトン」も、初代モデルは同時期の1979年に誕生した。スタイルはポロ競技後に催される華やかなパーティから着想し、エレガントさにも荒ぶるスポーティな鼓動を秘める。圧倒的な薄さは、ムーブメントがあることさえ感じさせず、スケルトン化によって初めてその精緻な存在を主張するのだ。

そしてもうひとつ。マイルスがピアジェのスケルトン時計をステージでも好んで愛用したことも選んだ理由にほかならない。

実はこのアルバムの評価はあまり芳しくない。でもそれは訳知り顔のマニアの評論にすぎないだろう。発売と同時に手に入れ、盤面に針を落とした瞬間の衝撃は今も忘れられない。完成度や演奏レベルを超え、何かを掴もうとする愚直なまでの姿勢が伝わり、それはまさにクールなマイルスだった。

本当のカッコ良さとはきっとそういうものなのだ。たとえ周囲に理解されなくても唯一無二のオリジナリティを求め、これまで自分が築いたスタイルや価値さえもぶち壊し、前に進んでいく。その輝きは革新を続ける「ピアジェ ポロ」にも通じる。

久しぶりにやつと言葉を交わしたくなった。この時計を見て「お、マイルス気取りかよ」なんて軽口を叩かれるかもしれない。きっと僕はこう返すだろう。そうだよ、カムバック後のね、と。

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スタイルは時代のラグジュアリーとともに進化を続ける

SSケース、42mm幅、自動巻き。336万6000円/ピアジェ 0120-73-1874

PIAGET
ピアジェ/ピアジェ ポロ スケルトン

1979年の誕生から2001年に第2世代となり、第3世代のチタニウムモデルを経て、’16年にはラウンドベゼルにクッションフェイスを合わせたSS製の「ピアジェ ポロS」が登場した。

進化を続ける最新作は、薄型ムーブメントとスケルトンというブランドを象徴する技術を合体。シリーズ史上最薄の6.5mm厚のケースに、ミドルケースと一体化したムーブメントには美しいオープンワークを施す。さらにブレスレットはインターチェンジャブル機構を備え、幅広い用途に応える。

 

※本文中における素材の略称:SS=ステンレススチール

「腕時計と男の物語」とは……
男には愛用の腕時計がある。最高の相棒として、その腕時計は男と同じ時間を刻んできた。楽しいときも、つらいときも、いかなるときも、だ。そんな男と腕時計が紡ぐ、とっておきの物語をここで。
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川田有二=写真 石川英治=スタイリング 勝間亮平=ヘアメイク 柴田 充=文

# Watchの群像劇# ラグジュアリースポーツ# 腕時計
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