2020.12.22
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ヴィンテージ時計の目利きが普段使いするタグ・ホイヤーとエルメス、憧れのロレックス

「腕“時”慢」とは……

ヴィンテージ時計の目利きとして、各界から信頼を集める「エンツォ ショップ」の中井一成さん。

彼がプライベートで愛用する時計と周辺のアクセサリーについて話を訊いた。

タグ・ホイヤーと藤原ヒロシのコラボ時計
12時位置にあるこのロゴは!

中井一成●1968年生まれ、石川県出身。2007年、石川県加賀市に「エンツォ ショップ」をオープン。ヴィンテージのライカやロレックスを中心にした独自のセレクトに定評がある。

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ヴィンテージ好きも唸る「タグ・ホイヤー×藤原ヒロシ」

「機械式時計は、一生使い続けられるアイテムだと思いますが、いつまでも飽きがこないかといえば、それは一概には言えないと思います」(中井さん※以下カッコ内はすべて)。

これまでヴィンテージを中心に、数々の時計を扱ってきた男の本音がそこにある。そのように話す中井さんが愛用する時計とはいったい?

「ヴィンテージウォッチにしても、その時々の流行が必ずあって、相場は生き物のように変動していきます。

例えば、数年前からタグ・ホイヤー(前身のホイヤー社時代)のヴィンテージに注目が集まっているのですが、その余波が現行コレクションにまで及んでいるのは、復刻モデルのラインナップを見れば明らかです」。

発売と同時にほぼ完売した「タグ・ホイヤー カレラ キャリバー ホイヤー02 by Fragment Hiroshi Fujiwara」。中井さんはストラップをフェニックス社の「G10ストラップ」に交換している。

その流れを汲む「タグ・ホイヤー カレラ キャリバー ホイヤー02 by Fragment Hiroshi Fujiwara」こそが今、中井さんがプライベートで愛用する1本だ。

「旧い時計だろうと、新しい時計だろうと関係なく、なるべくフラットに選ぶようにしています。タグ・ホイヤーと藤原ヒロシさんとの限定モデル第1弾は、2018年の発売以来、かなりの頻度で着用していますね」。

中井さんがヘビロテする理由は、“洗練された佇まい”と“現代的な機能”にあるらしい。

「この時計の魅力は、1960年代の初代『カレラ』のデザインをベースに、藤原ヒロシさんの絶妙なアレンジで“どこにもない時計”に仕上がっているところです。

僕は大きすぎる時計が苦手なんですが、この39mm径のサイズはちょうどいいバランスに感じます」。

時計を着用した様子からも絶妙なサイズバランスであることが窺える。

オリジナルのRef.2447は手巻きだったが、こちらは自動巻きに仕様を変更。その分だけケースも厚くなっているが、「あまり気にならない」と言う。それよりも……

「“服を選ばないデザイン”というのは、時計の使いやすさに直結すると思っているんです。シーンに応じて時計を使い分けるのもいいですが、僕はこの1本でだいたい事足ります。

そして、ヴィンテージ時計は水が大敵なので少なからず気を遣う必要がありますが、防水性にも優れるコレなら気兼ねなく着用できる。オリジナルだとこうはいきませんから(笑)」。

ヴィンテージウォッチの弱点をカバーしつつ、スタイリッシュな佇まいを持つ1本は、中井さんのスタンダードとなりつつあるようだ。

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時計を着けることが格段に楽しくなるエルメス

時計とファッションのバランスを大切にしている中井さんは最近、エルメスのアクセサリーにも夢中だとか。

「数年に一度、エルメスの魅力を再認識するんですが、今まさに大きなブームが到来中。最近は、少し前の年代に創られたシルバーアクセ全般に注目していますね。今日着けているトゥアレグ族のバングルもそうです。古さをまったく感じさせない」。

最近手に入れたばかりだというエルメスのバングル。

当然だが、同じ時計でも、アクセサリーと合わせるだけで印象は大きく変わる。

「定番と呼ばれる時計でも、着こなしがマンネリすると飽きてしまって、手放すことに繋がるかもしれません。

そんなときは手っ取り早くストラップを変えてもいいと思うし、アクセサリーとの組み合わせでイメージを変えてもいい。

そんなときにもエルメスのアクセサリーは最適ですね。『シェーヌ・ダンクル』のブレスレットのような大定番からちょっと珍しいものまで、いくつかのアイテムを押さえています」。

時計の代わりにニットの上から着用するスタイルもお気に入り。

ヴィンテージ好きでありながら「懐古主義が苦手」と話す中井さんのアクセ使いは、時計と長く付き合うための参考にもなりそうだ。

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カジュアルに付き合いたいヴィンテージの金無垢時計

中井さんが今狙っている、ロレックスの大変珍しい時計がある。ロレックス「GMTマスター」Ref.1675/8の初期モデルである。

コレクターズアイテムとしても知られる逸品。アリゲーターストラップに合わせるとドレスウォッチのような佇まいに。まだ個人的には所有していないが、中井さんのお店にも商品としてラインナップしている。

「これは、ヴィンテージロレックスの中でも根強い人気を持つ金無垢のスポーツウォッチです。いくつかバリエーションがあり、最初期にあたるこのモデルは、アルファハンドを備え、リュウズガードのない薄型のケースを採用しています。僕の中で“上がりの1本”候補に挙がるスペシャルピースですね」。

スポーツウォッチとドレスウォッチの中間に位置する「GMTマスター」の知られざるデザインは、時代を超えて人々を魅了する。

「金無垢のスポーツウォッチに対して苦手意識を持っている人が多いと思いますが、実際に使ってみると、ステンレスの時計では味わえない楽しさが感じられるはずですよ。

Ref.1675/8もそうですが、ヴィンテージウォッチは経年変化で落ち着いた雰囲気を持つ個体が多いので、気になる時計は一度手に乗せてみることをオススメします。

ブラウンの文字盤×経年変化の相乗効果で激シブな雰囲気に。

とはいえ、金無垢の時計1本だと心許ないので、ステンレス製の時計と2本持ちにするとか、いくつかある選択のひとつとして押さえておくのがベストかと」。

大切なのは気分。中井さんが考える時計選びのポイントはそこにある。

「時計を複数持ちするにしても、TPOで使い分けるのではなく、その時々の気分によって使い分ける。

このような考えを持つユーザーが世界的に増えていることから、高級時計の世界では、洗練されたスポーツウォッチの需要がかつてないほど高まっています。

もし僕がこの『GMTマスター』を手に入れることができたら、気負わずに、いつもの服にアクセサリー感覚で着けたいですね」。

 

「腕“時”慢」とは……
腕時計好きが愛用する自慢の1本。なんで好きなの? いつ着けるの? 出会いはいつ? あなたの腕“時”慢なモノ語り、お願いします。上に戻る

鳥居健次郎=写真 戸叶庸之=文

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