丸や四角といったフォルムの違いはあっても、ケースで個性を主張するのは難しい。その限られた要所がラグだ。
「フィフティーシックス」は、コレクション名となった1956年に発表された「リファレンス6073」をモチーフに、ブランドロゴのマルタ十字の4枝から着想を得た意匠をラグの細部に採用する。
当時ブランド初の防水機能を備えた自動巻き式であり、クラシカルな文字盤と大胆なケースとのコントラストで最新鋭を誇ったのだ。
継承したのはそのデザインだけでなく、時代のモダニティであり、フルカレンダーを搭載したK18PGモデルにも連綿と続くのだ。
※本文中における素材の略称:K18=18金、PG=ピンクゴールド
鈴木泰之=写真 柴田 充=文