ニューノーマルな時代の「大人カジュアル」ガイドブック Vol.52
2020.10.30
WATCH

ピアジェの薄さ、パネライの素材、ロンジンの機構……技術で進化する、腕時計の魅力

精度、快適性、耐久性、美観……など。時計が進化する方向性は実に多様だ。腕時計が生まれたころに比べれば、すべての品質において格段に向上しているのは、間違いない。

そして、今現在、さらなる進化を遂げようとしているのだ。未来志向こそ腕時計の魅力のひとつ。未来への懸け橋ともいえる。

 

高品質化の難しいカーボンを独自の技術で克服

薄さ、素材、機構。常に進化し続ける、先進技術を搭載した腕時計の魅力
腕時計カーボテックケース、44mm幅、自動巻き。142万円/パネライ(オフィチーネ パネライ 0120-18-7110)、ニット3万2000円/スカリオーネ(インターブリッジ 03-5776-5810)、パンツ1万7500円/セラードア、スニーカー2万1800円/リプロダクション オブ ファウンド フォー アダム エ ロペ(ともにアダム エ ロペ 0120-298-133)

PANERAI
パネライ/ルミノール マリーナ カーボテック-44MM

イタリア海軍の要請で生まれた頑強な作りもそのアイデンティティに数えるパネライ。妥協なき進化のプロセスとして、最新の「ルミノール マリーナ」には、複合素材カーボテックが使われるモデルもラインナップする。

自社の研究開発部門「アイデアの工房」によって開発されたこの独自素材は、カーボンファイバーの薄いシートを、管理温度下で高分子ポリマーとともに高圧圧縮。それが、無数の層を成し、ケースの模様にも表出している。カーボン素材ならではの軽さも大きな魅力で、時計全体の重量はおよそ96g。

 

地板とケースを一体化させた名作の豪華版

自動巻きにしてこの薄さ。2014年に登場し時計界を騒がせたのが、キャリバー910Pだ。あいにく見えないが、ブルーCVDとグレーPVDコーティングを施したゴールド製ローターを採用する。K18WG×Diaケース、41mm径、自動巻き。416万円/ピアジェ(ピアジェ コンタクトセンター 0120-73-1874)

PIAGET
ピアジェ/アルティプラノ アルティメート オートマティック

機械式時計における極薄化は、いくつかのウォッチメーカーがその技術を競い合うジャンルのひとつ。斯界をリードするのが、ピアジェだ。

ケースバックが地板の役割を果たし、ムーブメントと一体化させることで、本体わずか5.3mm厚という薄さを実現。結果、モダンなオープンワークや、オフセットされたダイヤルなどのデザインによって、比類なきオリジナリティを創出している。

本作は、K18WGケースに0.58ctのダイヤモンドがセットされたモデル。ジュエラーとしての出自も巧みに表現する。

 

薄型モデルのエレガンスを実現する高性能クオーツ

K18PGケース、縦43.5mm×横31.4mm、クオーツ。126万円/カルティエ(カルティエ カスタマー サービスセンター 0120-301-757) © Cartier

CARTIER
カルティエ/サントス デュモン

昨今のウォッチメーカーの動きとして挙げられるのは、高止まりしていると思われたクオーツ技術の向上だ。マニュファクチュールであるカルティエも、最新の「サントス デュモン」に搭載する高性能クオーツムーブメントにてそれを表現。

エネルギー消費を減らすためにサイズや電池を再検討することで、従来モデルの2倍となる、約6年間の連続作動能力に。コレクションのデザインが一新された薄型モデルに相応しいエレガンスを宿すための最適なソリューションを選択している。

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新素材に相応しい外観を備えたスポーティモデル

ルーセント スティール A223ケース、41mm径、自動巻き。147万円/ショパール(ショパール ジャパン プレス 03-5524-8922)

CHOPARD
ショパール/アルパイン イーグル ラージ

共同社長のカール-フリードリッヒ・ショイフレ氏が、1980年にデザインしたモデルを再解釈して生まれた、スポーティな新コレクション「アルパイン イーグル」。その精悍さを際立たせるのが、ルーセント スティール A223と名付けられた特殊合金だ。

4年を超える研究開発を要した新素材は、医療用スチールに匹敵する低刺激性に加え、一般的なSSの約1.5倍に相当するビッカース硬度223という耐久性をも備える。不純物の少ないこの素材が、シャープなデザインに輝きをも与えているのだ。

 

独創性を極めるケース素材・特殊合金ザリウムを採用

世界限定300本。ザリウムケース、42.2mm径、自動巻き。270万円/ハリー・ウィンストン(ハリー・ウィンストン クライアントインフォメーション 0120-346-376)

HARRY WINSTON
ハリー・ウィンストン/プロジェクト Z14

ジュエリーで培った美的感性をウォッチメイキングでも発揮し、時計界で独自の地位を築くハリー・ウィンストン。

ブランドが独自に採用するのが特殊合金ザリウムだ。宇宙工学分野でも使用されるこの素材は、ジルコニウムを主体とし、軽くて強いうえに、耐食性やアレルギー耐性も備える、まさに腕時計ケースの理想。これを、持ち前の加工技術によって美しく仕上げている。

最新モデルの「プロジェクト Z14」では、30秒で秒針が始点に戻るレトログラード式セコンド表示など、技術の粋も滲ませている。

 

独自素材セラタニウムで見た目と機能を両得

セラタニウムケース、44mm径、自動巻き。156万円/IWC SCHAFFHAUSEN(IWC 0120-05-1868)

IWC SCHAFFHAUSEN
アイ・ダブリュー・シー シャフハウゼン/パイロット・ウォッチ・ダブルクロノグラフ・トップガン・セラタニウム

ミリタリーテイストを盛り上げるマットブラックは、セラミックスとチタニウムからなる独自開発の新素材セラタニウムによるもの。ほぼ100%、自社でケース製造も行うだけあって、既に獲得しているチタニウムの切削技術とセラミックスの焼成技術を高次元で融合させている。

チタニウムの表面をセラミックス化することで、チタニウムの軽量性と耐久性、セラミックスの耐傷性とアレルギー性という両者のいいとこ取りを実現する。「パイロット・ウォッチ」の上位モデル「トップガン」のダブルクロノグラフでの採用に相応しい。

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世界最高峰の薄さは時計の概念をも覆す

ケースとブレスレットが見事に調和した薄型フォルム。両者の相乗効果によって、身に着けるとまるで体の一部かのように馴染む。もちろん、シャツの袖口にも納まりやすい。世界限定200本。SSケース、39mm径、光発電エコ・ドライブ。35万円/シチズン(シチズンお客様時計相談室 0120-78-4807)

CITIZEN
シチズン/エコ・ドライブ ワン 限定モデル

シチズンが世界に強烈なインパクトを与えた厚さ約3mmの超薄型クオーツウォッチ「エコ・ドライブ ワン」。その圧倒的な薄さを実現させたのは、同社のテクノロジーの粋を注いだ約1mm厚の光発電ムーブメントだ。加えて、薄型ケースとのバランスを考慮し、ブレスレットも2.1mm厚の特別なそれを採用する。

こちらはピンクゴールドカラーのサーメットベゼルに、ローマンインデックスを合わせた特別仕様であり、ラグジュアリーな雰囲気を漂わせる。

 

いっそう研ぎ澄まされたハイクオリティなクオーツ

SSケース、41mm径、クオーツ。12万1000円/ロンジン 03-6254-7350

LONGINES
ロンジン/コンクエスト V.H.P.

古豪ロンジンは1969年、世界初の量産可能なクオーツウォッチ「ウルトラクォーツ」を発表。その偉大な功績を讃えるのが「コンクエスト V.H.P.」だ。

“究極のスポーティモデル”と銘打たれたこのシリーズは、一般的なクオーツの一歩先をいく年差±5秒の高精度が特徴。さらに磁場や衝撃で時刻表示に影響が出ても、GPDシステムが作動し、自動で針位置を補正するなど、高いパフォーマンスが際立つ。

クロノグラフ、GMTも揃うがこちらは最もプレーンな3針タイプ。無駄を削ぎ落としたオーセンティックな顔立ちだ。

 

最先端カーボン素材で表現した究極の漆黒ダイヤル

K18レッドゴールドケース、39mm径、手巻き。295万円/H.モーザー(エグゼス 03-6274-6120)

H.MOSER & CIE.
H.モーザー/ベンチャー・コンセプト ベンタブラック

従来の腕時計の文脈にとらわれない、自由かつ挑戦的なクリエイティブを真骨頂とするH.モーザー。そんなブランドの姿勢を如実に体現するのが本作だ。

秒針だけでなく、ほとんどの時計が採用するインデックスすら排したその独創的なスタイルは、時間に支配される現代人を解放してくれる。とりわけハイライトとなるのが、どんな黒よりも黒い、といわれる最先端のカーボン系素材ベンタブラックを使用した漆黒ダイヤル。

吸い込まれそうな深淵なる色みは、まさに唯一無二であり、強烈な個性を演出するのだ。

 

※本文中における素材の略称:SS=ステンレススチール、K18=18金、PG=ピンクゴールド、WG=ホワイトゴールド

川田有二=写真 菊池陽之介=スタイリング 竹井 温(&’s management)=ヘアメイク 髙村将司=文

# IWC# カルティエ# シチズン# パネライ# ハリー・ウィンストン# ロンジン# 腕時計
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