去る1月にスイス・ジュネーブで開催された「SIHH2019」「WPHH」を中心とする腕時計の祭典。本誌取材班は今年も海を越えてかの地へ。そこで見た感動と世界の目利きたちが唸った傑作を厳選してお届けする。
“精度は芸術”という哲学の下、現代におけるマニュファクチュールのあり方を打ち出す。機械式技術の創造性を追求した複雑機構から、匠の技を注いだ伝統装飾で他を圧倒した。
6年の開発期間をかけ、まさに芸術の域に
ロンドンにある時計台、ビッグ・ベンの4種の鐘の音を再現したウェストミンスター・カリヨン・ミニッツリピーターに、よりコンパクトに設計した多軸のジャイロトゥールビヨン、前後に調整可能な永久カレンダーという複雑機能を組み合わせ、さらに安定したトルクを供給するため、コンスタントフォース機構を搭載する。
機械式時計の伝統を受け継ぎ、究極を追求することでさらに革新する。それこそがマニュファクチュールの矜持だ。
バーガンディに薫り立つ不変のエレガンス
ドーフィン針とスモールセコンドの組み合わせに、アーカイブを再現した美しいバーガンディ文字盤が映える。同色のカーフストラップは、ブーツブランドのカーサ・ファリアーノがデザイン。
手仕事の伝統技が生み出すブルーの輝き
ギョーシェ彫りとグラン・フーエナメル装飾というふたつの工芸技法が醍醐味となる本作。まず真鍮プレートの中心から伸びる180本もの線を彫り、これを3回繰り返したあと、エナメルを施す。こうして完成した煌めくブルー文字盤に、ポリッシュ仕上げのムーンフェイズが美しく際立つ。
ジュウ渓谷を再現したというブース
な、な、なんと本物の木!
熟練職人の技、我々も見てきましたよ。
CEOカトリーヌ・レニエさん、ブースに来場した錚々たるアンバサダーたちに囲まれ、パチリ。
※本文中における素材の略称:K18=18金、WG=ホワイトゴールド、SS=ステンレススチール
柴田 充、水藤大輔=文