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2018.12.24

時計

【後編】名工たちが込めた想いや情熱を感じる。匠の技とツナガル時計

名工たちの技術に彩られた時計は、単にヴィジュアル上の美観を備えているだけではないと思う。その技術が確立するまでに連綿と紡がれてきた長い時間と、作品のために注がれた情熱がないまぜになった温もりまでも感じていられる。前編中編を経て、完結。

PATEK PHILIPPE パテック フィリップ
ゴールデン・エリプス誕生50周年記念モデル
完璧な美を高みに押し上げる、熟練の装飾技術

Ptケース、縦39.5×横34.5mm、自動巻き。988万円/パテック フィリップ ジャパン 03-3255-8109
横:縦比率、1:1.6181という黄金分割を採用した楕円ケースの名作誕生50周年記念となるモデル。七宝エナメルの味わい深いダイヤルに、流麗な渦巻き模様の彫金が手作業によって施されており、歴史が導き出した理想のプロポーションをいっそう際立たせている。
これらのダイヤル装飾は、熟練した職人の長時間に及ぶ作業の賜物。ブラックオニキスのカボション装飾がついたリュウズは、超薄型キャリバーを収めるスリムなサイドビューを引き締めている。
名門の時計装飾技術は芸術の域!
ジュネーブで1839年に創業して以来、時計を作り続けるマニュファクチュールは、その装飾に関わるハンドクラフト技術の育成にも力を注ぐ。ここで培われた高い技術が、ゴールデン・エリプスのみならず、数々の名作を彩っているのだ。
 

CENTURY センチュリー
プライムタイム
角度によって変化するサファイアクリスタルの輝き

SS×サファイアクリスタルケース、38.5mm径、自動巻き。58万円/センチュリー銀座店 03-6278-8975
ジュエリーの如く煌めく外観は2種類のサファイアクリスタルを一体化させたケースに12面のハンドカットを施すことで表現。モース硬度がダイヤモンドに次ぐ9に値するケース素材を自在に加工する技術力は、100m防水性能を実現してしまう点にも見て取れる。特別な工具と鍛錬された感覚のなせる、まさに職人技だ。
 

OCEANUS オシアナス
OCW-S4000D
伝統と先端の技術を融合させ、独自のブルーを追求

世界限定3000本。チタンケース、縦48.3×横43.3mm、クオーツ。20万円/カシオ計算機 03-5334-4869
江戸切子職人、三代秀石・堀口徹氏の制作した上質な江戸切子を配したベゼルの内側に、カシオが誇るブルーIP加工を施したハイテク電波ソーラーウォッチ。淡い瑠璃色や黒によって東京の夕暮れを表現したベゼルのカラーリングが何とも美しい仕上がり。
 

BVLGARI ブルガリ
オクト ローマ
美の国、イタリアのセンスがスイスの技術と融合

SSケース、41mm径、自動巻き。68万円/ブルガリ ジャパン 03-6362-0100
古代ローマ時代に建造されたローマの各所にあるバシリカ(公会堂)から着想を得て、円形と八角形を組み合わせた「オクト」コレクションの独創デザイン。細かなファセットから構成されるが、それぞれの面をポリッシュやサテンなどで仕上げ分けており、職人たちの手間がしのばれる。さらに文字盤の美しいブルーは、ラッカーを30分おきに計20回塗り直すことで表現されている、まさに職人技だ。
 
※本文中における素材の略称は以下のとおり。
SS=ステンレススチール、Pt=プラチナ
柴田 充、髙村将司、中村英俊、戸叶庸之=文


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