時計を新調するだけでお洒落が楽しくなる。誰しも一度はそんな経験があるだろう。それを検証すべく、4人のスタイリストに各自が惚れ込む腕時計に合わせてコーディネイトを考えていただいた。前編は
こちら。
3人目:スタイリスト 武内雅英さん
「冬アウターを楽しむその手段として考える」
「パテック フィリップ 」+ブロックチェック柄が目を惹くコートスタイル意外な着眼点からのチェック・オン・チェック
時計の背景まで考慮すると、装いがいっそう楽しくなると語る武内さん。時計を着けるときは、服とのバランスをすごく大切にしているそう。
それを実践すべく、大きなチェック柄のステンカラーコートに合わせたのは、パテック フィリップのスポーツウォッチ「アクアノート」。文字盤の格子状装飾にコートのチェック柄を揃えて遊び心を演出する楽しいアイデアは、さすがのひと言。
「ブレゲ」+上品な山系スタイルコーデも時計も“骨太なのに上品”同士の組み合わせ
また、自身も「長年愛用しているお気に入り」と話すブレゲの通称“アエロナバル”は、上品なピレネックスのダウンジャケットとカシミヤ製スウェットパンツを合わせたスタイルにオン。フランス海軍のために作られた本格パイロットウォッチと、ピレネー山脈の麓で培われた本格ダウン。どちらも男っぽいけれど上品な逸品だ。
「隠れたマッチングを楽しむのもお洒落の醍醐味」。ともすると野暮ったく見えがちな山系コーデに気品を与える。こんな意外な楽しみ方を提案してくれるのは、服も時計もよく知る武内さんならではだ。
武内雅英さん(40歳)
1977年、長野県出身。クロージングに対する確かな知識に裏打ちされたロジカルなスタイリング提案を得意とする。モードからクラシックまで守備範囲は幅広く、そのバランス感覚に定評がある。
4人目:スタイリスト 菊池陽之介さん
「冬アウターを楽しむその手段として考える」
「オメガ」+黒を基調にした重ね着スタイル機能性を優先したいワークスタイルの相棒として
実用性と装飾性という2つの魅力を持つ時計は、着こなしにさまざまな可能性を与えてくれる。それを教えてくれるのが菊池さんの時計選びであり、今回の提案なのだ。
まず、オメガの時計については、「セラミックス製なので傷に強くて軽量。さらに第2時間帯表示まで備える機能派にして、黒の輝きがスタイリッシュ。僕が時計選びで大切にした条件を満たす1本」と菊池さんは語る。
そんな才色兼備な時計に合わせるコーデは、「動きやすさと気候や気温の変化による着脱も考慮して、黒を基調にした重ね着スタイル」。海外やアウトドアでの、ロケ(仕事)での使用も想定している。
「ブライトリング」+ムートンジャケットのアメカジスタイル輝くブレスレットをネイティブジュエリーに見立てて
そして、もう1本がブライトリングの代表作「クロノマット44」。存在感のあるブレスレットに着想を得たのが、自身の定番でもある“ネイティブジュエリー感覚”での楽しみ方だ。確かに同社の5連ブレスレットは「パイロットブレス」と呼ばれ、ひとコマずつ丁寧に磨き上げられ無二の輝きを放つとファンの間ではお馴染みの代物。
「着けるだけで絵になる時計を、今季注目のムートンジャケットを主役にしたアメリカンカジュアルの仕上げとして選びました」と、時計の魅力を熟知したうえで楽しむお洒落、そんな菊池さんの提案はリアリティに溢れている。
菊池陽之介さん(39歳)
1979年、神奈川県出身。スタイリスト熊谷隆志氏に師事。本誌をはじめ雑誌からタレント、広告のスタイリングまでマルチにこなす傍ら、子供服ブランド、スムージーのディレクターとしても辣腕を振るう。
時計は着こなしでも輝く。あんな服を着てこんな場所へ——。夢はどんどん広がるのだ。