>連載「37.5歳の人生スナップ」を読む「僕は子供のときから、『36歳』っていう年齢を強く意識していたんです」。
デビュー作『日蝕』で芥川賞を受賞。それから20年経った今もなお、『マチネの終わりに』や『ある男』など、さまざまな作品で文壇から高い評価を受け続ける小説家、平野啓一郎さん、44歳。
そんな平野さんが「36」という数字を意識したのは、父親の死が大きく関係している。
「父親が36歳で亡くなったんです。僕がまだ1歳のときでした。親を早くに亡くしている人は多くがそうじゃないかと思うんですが、父の年齢を自分は超えられるのか、という合理的ではない不安が、幼い頃から拭えなかった」。
父親が亡くなった年齢にどこか縛られ続けた20〜30代。その年齢を超え、父よりも“年上”となった今、平野さんは何を思うのか。その人生に迫った。
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