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2021.05.09

ライフ

ハワイのリアルが垣間見える、サルベージパブリックによるサーフファッションの魅力

当記事は「FLUX」の提供記事です。元記事はこちら

ホノルルのオーシャンライフスタイルを発信するブランド「サルベージパブリック」。ローカルの創業者たちは、自らが手掛けたライフスタイル・ブランドを通じて、サーフィンやハワイにまつわるさまざまな物語を伝えている。
ハワイの魅力的なシンボルであるダイヤモンドヘッド。かつて、その麓にはサーフィンのヘイアウ(神殿)があった。
当時、ここではハワイアンのカフナ(祭司)が凧をあげて水平線上に波が寄せるのを知らせていた。いうなれば、今でいうサーフレポートだ。
かつて、サーファーたちは「ホー・アエ・コウ・アロハ・ヘエナル・イ・カ・ホクア・オ・ナ・ナル(サーフィンへの愛は、波の上で示せ)」と叫んでいた。
「昔のハワイの人々が口にしていたこの言葉には、『不言実行』という意味もあります」と、サルベージパブリック共同創業者のナパリ・スーザさんは話す。
「このフレーズは、当時のハワイの人々にとって、自分たちの生活とサーフィンがいかに切っても切り離せないものだったかを示しています。サーフィンは、単に生活様式の一部ではなく、生活そのものだったのです」。

スーザさんと同じく、サルベージパブリックの共同創業者であるジョセフ&ノア・セラオさん兄弟は、このようなエピソードをもとに、サーフィンのテイストに現代っぽさを取り入れた紳士服を本格的に展開するようになった。
グラフィックTシャツを皮切りに、ジャケット、パンツ、ボタンダウンシャツなど、全身コーディネイトがかなう紳士服コレクションのラインを創り上げたのである。
幼い頃からハワイの海に囲まれて育ったこと、もっといえば、実際に水着姿で暮らしていたことが、彼らのファッション業界への参入を後押しした。
「子供時代を過ごした1990年代初めには、自分が着ているもの(私の場合はサーフウェア)がアイデンティティでした」とスーザさんは語る。子供の頃に愛用していたブランドは、ボルコムだったという。
「あの頃のボルコムは、当時としては型破りで、挑戦的で、なおかつ斬新でした。身に着けることができて、人としての自分の立ち位置の延長線上にあるブランドに夢中になるようなカルチャーが広く浸透していました」。
サーフ業界は長年にわたり、世界的企業が牽引してきた。クイックシルバー、リップカール、ハーレーなど、その大半はカリフォルニア南部に本社を構えている。だが、ここ10年間で、サーフカルチャーはハイエンド市場に進出してきた。
その第1号となったのが、2009年に誕生し、世界的人気を誇るライフスタイル・ブランド「サタデーズ ニューヨークシティ」だ。2011年には、グッチやサンローランなどを展開するフランスの高級ブランドグループ、PPR(現社名はケリング)がボルコムを買収した。
2014年、オーストラリアの映画監督バズ・ラーマンが手掛けたシャネルの香水「No.5」の新広告キャンペーンでは、スーパーモデルのジゼル・ブンチェンが、光沢感のある黒色のシャネルのサーフボードで極上の波に乗ってサーフィンをする姿が呼びものとなった。


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