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2021.04.17

ライフ

祖父から孫へ。木彫りのボードを受け継ぐハワイのサーフィン一家

当記事は「FLUX」の提供記事です。元記事はこちら

古来よりハワイに伝わり、文化としての繋がりも深い木製サーフボード。苦い過去に苛まれてきた期間を経てボードシェイパーとなったトムは亡き父がかつてそうしてくれたように、先祖より伝わる木彫りのボードの技術を10代の孫娘に引き継ごうとしている。
朝は涼しく、なおかつ薄暗い。海では泡立つ波が大きくうねり、やがてうねりは押し流されていく。1月半ばのワイキキの海は、良好な状態とは言いがたいものの、熟練のサーファーにとってはワクワクするような遊び場だ。
ここに現れた勇敢なふたりが抱えていたものは、ハワイ先住民の職人であるトム “ポハク” ストーンが手彫りを施した、重厚な木製のサーフボード。トムが自らに与えたポハクという名前は、ハワイ語で「石(ストーン)」を意味する。ハワイ語でサーフィンは「パパヘッエナルー」という。
「むしろ、ショアブレイクでサーフィンをしたほうがいいかな?」と、トムは冗談半分で孫娘のサバンナ・ストーンに提案する。
ちょうどそのとき、元セミプロのサーファーがやっとのことでビーチに運んだ、およそ40kgの真っ赤な木製サーフボードがひっくり返り、トムの頭にぶつかった。それは、ハワイのサーフィン界のレジェンド、故デューク・カハナモク氏が愛用したサーフボード「キコオ」のレプリカで、濃淡のモノグラム模様があしらわれたものだった。
現在、16歳でプロサーファーでもあるサバンナは、トムの歯に衣着せぬ提案を無視してクスッと笑うと、およそ20kgある自分のサーフボードを抱えて、慎重に水の中をすべらせていく。
波打ち際でパドリングしながら、彼女はどうにかキコオを操作する。キコオの板材はウィリウィリで、長さは3.5mほど。デッキが平らで丸みのあるボトムデザインが特徴だ。グラスファイバー素材の細長いボードであるKTサーフボードのクラッシャーより簡単に操作できそうだ。


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