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2020.04.14

ライフ

本当に幸福な働き方とは?「生きるように働く」を実現する男の物語

リトルトーキョー
「37.5歳の人生スナップ」とは…
「生きるように働く」。
それが、株式会社シゴトヒトの代表、ナカムラケンタさん(40歳)の掲げるテーマである。ナカムラさんは現在、徹底した取材力で多くのファンを持つ求人サイト「日本仕事百貨」の運営や、さまざまな業種の人々が集い仕事に関するトークイベントを繰り広げる「しごとバー」の運営、簡単に映画の自主上映ができるサービス「popcorn」など、さまざまなサービスを精力的に展開している。
「生きるように働く」。そんなモットーが生まれるまでの人生を振り返ってもらった。

居心地の良い場所の条件は、そこにいる“人”だった

リトルトーキョー
ナカムラさんの挑戦の数々は、幼い頃の原体験をもとにした「心地良い居場所探し」が基盤にあると言っても過言ではない。
「僕、『地元』って呼べる場所がないんですよ。親が転勤族で、引っ越しが多かったから。だからこそ、自分の収まる居場所が欲しいっていうのは子供の頃から何となく思っていたかもしれない」。
訪れたときに「おかえり」や「ただいま」が自然と生まれるような場所。そんな場所がほしいという想いは、歳を重ねても心の片隅に残っていた。大学の建築学科を卒業し、サラリーマンとして勤め始めた頃、ようやくそんな魅力的な居場所を見つけることができたという。
「サラリーマン時代、週6で通う行きつけのバーがあったんです。お金もかかるから1、2杯飲んで帰っていたけど(笑)、それでも思わず行きたくなるような場所だった。『なんでこんなに行きたくなるんだろう?』って考えたら、美味しい食事にお酒はもちろんなんだけど、何よりそこにいる人に会いにいってるな、と気づいたんです。良い場所っていうのは、モノやコトだけじゃなくて、まずは“ヒト”なんじゃないかと」。
ナカムラさんの求める居場所には“人”が不可欠だと気付かされた。そして人との出会いは、自身の仕事にも影響をもたらしていく。
「独立するきっかけにも繋がるんですけど、人と人が直接話すことの重要性を社会に出てより感じるようになりました。学校や会社の中だけの世界にいると、ついそこがすべてだと思ってしまう。そこで、あえてその世界から逸脱してみると、発見があるんです。仕事終わりに毎日バーに通う、とかね」。
新たな刺激と居場所を求めて、休日は積極的に人が集まる場所へ顔を出したという。いつ行ってもパーティーにいるおじさんや、どこでどんな仕事をしているのかよく分からないけど羽振りのいい人、普段一切接点のない業種の人。そんな人々から得られる気付きは多かった。
「実際に会う、ってことが大事。直接、話さないと実感を伴わないものって実はすごくあると思うんです。その人の纏う空気感とか場の雰囲気とか説明することはできても、100%は伝えられない。だから、『変わった人がいる』と聞いたらどんどん自分から会いに行くようにしていました。そこからまた人の繋がりが増えていって、もっと自分が肌で感じたことを人に伝えたい、と思うようになったんです」。


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