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2019.12.14

ライフ

もしもの安全対策に。人の命を救うiPhoneの隠れた機能とは?

iPhone再入門●子供の成長記録を収めたり、仕事のメールを確認したりと、もはや生活に欠かせないiPhone。しかし、そんな“相棒”の真価をぼくらは知らないかもしれない。Appleフリークが語ってくれた、読んだら誰かに教えたくなる知識の数々をお届けする。
緊急事態
健康に不安を覚え始める40代。気持ちはバリバリの現役でも、まさかの事態が訪れないとは限らない。さらには一家の大黒柱として、妻や子はもちろんのこと、高齢になってきた両親の一大事にも対応できるようにしておきたいところ。
「iPhoneにはもしもに備えて、人の命を救う機能も用意されています。皆さんも、iPhoneやApple Watchから緊急SOSが発信され、人命救助につながったというエピソードは耳にしたことがあるのではないでしょうか。iPhoneに適切な設定をしておき、使い方を知っているだけで、いざというときに命運を分けることもあるかもしれません」。
教えを乞うたのは、Appleフリークのライター・編集者であり、お坊さんの顔も持つ吉州正行さん。命を救うiPhoneの知られざる機能について聞いた。
吉州さん
【教えてくれた人】吉州正行:Appleフリークのお坊さんであり、編集者。埼玉県でお寺の副住職を務めながら、さまざまなメディアや広告で制作業務を手掛ける。相続や遺産の問題にも詳しい。
 

声が出ない、体が動かない……
自分に代わってiPhoneが助けを呼んでくれる

――噂に聞くiPhoneの救命機能とは、一体どんなものなのでしょうか?
機能は大きく2つあって、まずは「メディカルID」ですね。これは前回も紹介した「ヘルスケア」が持つ機能のひとつで、血液型や身長・体重、過去の病気や怪我の経験、アレルギーや服用中の薬など、自分の医療情報をiPhoneに登録できます。
そのため、もし不慮の事故などであなたが意識を失ってしまったとしても、医療機関の人がメディカルIDを確認すれば、医療情報は一目瞭然。たとえば、輸血が必要なときに、血液型に加えてRHプラスなのかマイナスなのか。一刻を争う状況で、その情報を瞬時に得られるのは大きいです。
メディカルID
「ヘルスケア」アプリを開き、下部メニューから「メディカルID」をタップ。「メディカルIDを作成」または「編集」で、医療情報を登録できる。
――なるほど。しかし、医療機関の人はどうやってメディカルIDを確認するのでしょうか?
カンタンですよ。メディカルIDを設定したうえで、iPhoneの電源をオフにしようとしてみてください。
電源オフ
スリープボタンと音量ボタンを同時に長押しし、電源をオフにしようとすると……。
――画面に「メディカルID」と「緊急SOS」のバーが表示されました!
このように、メディカルIDはロック画面を解除しなくとも電源オプションから確認できるんですよ。さらにもうひとつ、この「緊急SOS」が非常に優れもの。バーをスライドするだけで、電話番号の入力をスキップして110番、118番、119番へと発信することが可能です。
この機能は海外でも利用でき、各国の救急機関にコールしてくれるのです。またiPhoneにはGPS機能が内蔵されているため、現在地が相手へと自動的に伝わる仕組みになっています。さらにメディカルIDと紐付き、助けを求めているのは誰なのかを、医療情報も含めて送信してくれるほか、家族や友人など親しい人を緊急連絡先に入れておけば、自分の居場所をテキストメッセージで送ってくれます。
――「怪我人や病人では満足に電話をかけられない」というジレンマを、見事に解消していますね。一方で、声は出せても体は動かないケースもあると思います。
そんなときはSiriに119番をコールしてもらいましょう。「Hey Siri、119番に電話して」などと指示すればOKです。「緊急電話をかける」とだけ指示した場合、110番、118番、119番のどこにかけるか選択肢を問われるので、番号を指定してください。以下ではiPhoneのみならず、Apple Watchを使った救命術についても紹介しましょう。
緊急連絡先

「もっと使える!」①
Apple Watchを使用すれば、より深刻な状況にも対応

手首に装着しているだけで、ユーザーの行動や生体反応までも検知するApple Watch。単なるデジタル端末を超えて医療機器としての可能性も秘めているが、Apple Watchを駆使すれば、救命の精度はより高まる。
「Apple Watchに備わっている『転倒検出機能』をオンにしておきましょう。これは事故や転倒を起こしたとき、Apple Watchがそれを感知してくれる機能。優秀なのはここからで、ユーザーが一定時間その場から動かなかった場合、自動音声で『大丈夫ですか』と問いかけてくれます。さらに応答がなければ、自動的にその国の救急機関へと連絡し、ユーザーの状況や位置情報を伝達する仕組み。もし突然の心臓発作や脳卒中などで意識を失い、誰もいない場所で倒れてしまったとしても、助けを呼んでくれるわけです」(吉州さん、以下同)。

「もっと使える!」②
近い将来、Apple Watchと救急車が連携する可能性も

さらに吉州さんは、間もなく登場すると言われる驚くべき機能も教えてくれた。
「Apple Watchに心拍計がついているのはご存知でしょうか。海外ではこれを利用し、心臓のバイタルサインを、向かってくる救急車へとリアルタイムで送信するシステムを導入しています。インフラが整えば運用できると言われているので、導入は時間の問題かなと思いますね」。

 
「40代の男性にとって、自分の体は自分だけのものじゃありません。守るべき大切な家族もいれば、老後を過ごす両親もいます。万が一の状況に備えながら、家族や両親にもしっかりとiPhoneの使い方をレクチャーする。一家の大黒柱として、それも大事な勤めのひとつではないでしょうか」。
「iPhoneに命を救われた」と聞くと大げさに思えるかもしれないが、いまやそれも珍しくない時代。常に持ち歩くiPhoneだからこそ、しっかりと機能を頭に入れておけば、緊急時に持ち主を助ける命綱になるはずだ。
小島マサヒロ=写真 佐藤宇紘=文


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