Camp Gear Note Vol.10
2019.09.01
LIFE STYLE

「スノーピーク」の定番と新作。キャンパー必携2アイテムの魅力に迫る

連載「Camp Gear Note」
90年代以上のブームといわれているアウトドア。次々に新しいギアも生まれ、ファンには堪らない状況になっている。でも、そんなギアに関してどれほど知っているだろうか? 人気ブランドの個性と歴史、看板モデルの扱い方まで、徹底的に掘り下げる。

焚き火台

1987年、高さ660mmのマルチスタンドが核のSLS(スノーピークレイアウトシステム)による、秩序立ったギア構成を提案した「スノーピーク」。660mmの高さを快適基準寸法に設定し、テーブルやチェアなどのサイズも準拠させることで、相互の組み合わせを容易にするシステムである。

ほかにも革新的なアイデアを多数具現化し、アウトドア業界に新風を送り続けてきた。1996年に発売して以来、スタンダードとして定着した「焚火台」、センセーショナルなニューカマーである「HOME & CAMP バーナー」について、執行役員 企画開発本部長 CPDOの林 良治さんに伺った。

焚火台の先駆者は「スノーピーク」

林さん
「初登場時は反響がありませんでしたが、求められる時代は必ず来ると信じて展開し続けました」。

——現在、多くのブランドからリリースされている「焚火台」ですが、パイオニアは「スノーピーク」だそうですね。

かつて、焚き火は“地面に直接”が一般的でした。しかし、芝生のオートキャンプ場が増えると、直火禁止のキャンプ場が多く新設されました。そこで誕生したのが「焚火台」なんです。1996年にリリースし、今では焚き火を楽しむキャンパーの常識となり、マナーとして定着させました。

——今では常識ですが、当時はかなり斬新だったんですね!

実は、発売当初まったく売れなかったんですよ。当時は直火OKの認識が広まってましたから、「なんで使うの?」って。使い勝手の良さも理解してもらえなかったみたいで。一度使いさえすれば、着火しやすさや後始末のラクさに感動できるんですが。単純な作りなので、設置撤収も迷わずスピーディですし。

ただ、厳しい声の中でも、スノーピークの思想に共感し、焚火台を受け入れてくれるキャンパーがいたことも確かです。年々販売数は増え、私たちが掲げたコンセプトが正しかったことが証明されていきました。幸い、今ではマナーが浸透していますから、キャンプに欠かせない存在となっていますね。

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リピーターが出ないほど頑丈な一生モノ

焚き火台
「焚火台 S 」9288円

——メンテナンスはどうすれば良いでしょう?

灰を取り除いて水洗いくらいでしょうか。修理依頼はほとんど見かけたことがありませんので、特に気を使わなくて平気です。タフ過ぎてリピートされない、買い替えが行われないアイテム。でも、売れ続けていますから、アウトドア人口が増えているのだと解釈しています。一種のバロメーターですね。

万が一、スノーピークのアイテムが不調ならば、直営店に持ち込むか、スノーピークユーザーサービス係にご連絡を。製造上の欠陥が原因なら、無料で修理・交換いたします。そのほかの場合でも見積もりを出したのち、適正な価格でケア。パーツが代替品になる場合もありますが、廃番モデルでもOKです。

メンテナンス
スノーピークの本社「Snow Peak Headquarters」にアフターサービスの拠点があったときの写真。現在は2017年3月に竣工した新拠点「Snow Peak Operation Core HQ2」へ移設している 写真提供:スノーピーク

——発売当時からほとんど形が変わっていない気がします。

そうですね。基本構造はほとんど同じです。完成度はかなり高かったのですが、オリジナルからチェンジしている部分があります。網を乗せてバーベキューグリルとして使う場合、本体に塩や油が付着し、錆びてボロボロになる可能性があったので、ベースのステンレスを耐食性の強い組成に変更しました。

また、数年前までは溶接による焼けを除去するのに酸洗をしていたんです。今は手間がかかるうえに、廃液による環境負荷も無視できないので廃止。使用すれば焦げるよね? という意見もありましたし。

溶接跡
かつては溶接によって生じる焼けを酸で洗って消していた。今では環境的観点から行なっていない。
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ヒットの予感大な洗練されたガスコンロ

林さん
「アウトドアが感じられるアイテムを家でも使用すれば、少しは自然の癒しが得られるのでは?」。

——焚火台のように変わらない名品があるなか、次々と新しい分野に挑戦するのもスノーピークというブランドの特徴かと思います。登場したばかりの「HOME & CAMP バーナー」も相当な高評価を得ているようですね。

アウトドア好きのなかには、お気に入りギアを自宅とフィールドの境なく使用する人がいます。五徳が収納できる卓上ガスコンロ「HOME & CAMP バーナー」は、普段の暮らしの中でも活躍する“スノーピークらしい製品”というテーマのもとで製作されました。

癒やしは自然の中にあると考えますが、観葉植物のようにオフィスや家の中でも自然を感じられるアイテムがあれば良いなと。アウトドアとインドアをシームレスにするギアとして期待しています。

HOME&CAMP バーナー
「HOME & CAMP バーナー」1万778円

——コンパクトに畳めるギミックは、確かにアウトドアの匂いが感じられます。

それに、従来のカセットコンロは隠したくなるルックス。「HOME & CAMP バーナー」ならリビングにあっても違和感がないはずです。省スペースですしね。

——開発に苦労したのでは?

法律的な細かい規格との勝負でした。例えば、カセットが温まると事故防止のため、自動的に外れるようにする“圧力安全装置”。屋内使用するのに法的にマストな装置なのですが、折り畳み機構との共存が難しい。アウトドアで使う分には不要なので、かなり悩まされました。おかげで、折り畳み式で圧力安全装置がついた唯一のコンロに。


リフレッシュできる生活の身近なシーンを提案したい

バーナー
家とフィールド、仕事場。人が過ごす3つの空間すべてを「スノーピーク」がカバーするのも間近かもしれない。

——今後はどういったアイテムで私たちを驚かせる予定ですか?

「スノーピーク」が斬新なのは、真似して作るのではなく、必要だと思ってチャレンジするからです。これから視野に入れるべきと考えているのは、オフィスや生活の身近なシーン。今までライフスタイルとアウトドアをフォローしてきましたが、実際に人が長く過ごしているのはビジネスの場なんですよね。

近い将来、オフィスや仕事場でもリフレッシュできる環境も提案していきたいと思っています。これからもスノーピークらしいアイデアで、ものづくりしていきたいですね。

平安名栄一=写真 金井幸男=取材・文

# Camp Gear Note# キャンプ# スノーピーク# 焚き火台
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