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2019.05.26

ライフ

世界で唯一のチューブライド 〜Only In The World〜

ただくつろぐだけでも気持ち良い時間を過ごせ、サーフィンをした瞬間に人生は大きく変わってしまう。ひとつのシーンからそんな海の魅力を発見していくコラム。

今回は「Only In The World」

アフリカで4番目に長いザンビアのザンベジ川
海ではなく川の波に乗るリバーサーフィン。名所のひとつは南ドイツの大都市、ミュンヘンにあるアイスバッハ川。街の中心部に同スポットはあり、海のない土地ながら、ウエットスーツ姿のサーファーたちは川での波乗りを堪能し、ギャラリーはその様子を見て楽しんでいる。
そして、このミュンヘンでの日常とは対極にあるような光景がアフリカにある。場所は、やはり海のない国、ザンビア。アフリカで4番目に長いザンベジ川に、その波はあった。しかも急流が川床にあたり生まれる波はチューブ。現状、チューブライドができる川として聞こえてくるのはここだけ。目下のところ、世界で唯一の波なのである。
南アフリカ在住の写真家アラン・ヴァン・ガイセンは、1990年代から波の存在は知られていたといった。ただ波の発生は水量により、水量は降雨量による。雨が少ない場所だけに姿を見せるのは年に2回ほど。往々にして周囲に誰もいないなか、密かに波はブレイクしているという。
memo
写真右の上流から、川の流れに乗って波へアプローチし、テイクオフ。ここまではさほど難しくないという。が、もし流れの強い川の中に落ちたら、遠くまで流される前にパドリングで川岸に上がる必要がある。しかも岸辺の黒い岩は火山岩で熱く歩くのは不可能。ブーツを履いたサーフィンが必須となる。そして残念なことに、この波はダムの建設により間もなく消滅する。きっとこの写真を撮影した今年の3月が最後の機会だろうと、アランは言った。

アラン・ヴァン・ガイセン=写真 小山内 隆=編集・文


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