37.5歳からの愉悦 Vol.84
2019.03.14
LIFE STYLE

国領の居酒屋で、看板娘が心の「空き地」を埋めてくれた

看板娘という名の愉悦 Vol.56
好きな酒を置いている。食事がことごとく美味しい。雰囲気が良くて落ち着く。行きつけの飲み屋を決める理由はさまざま。しかし、なかには店で働く「看板娘」目当てに通い詰めるパターンもある。もともと、当連載は酒を通して人を探求するドキュメンタリー。店主のセンスも色濃く反映される「看板娘」は、探求対象としてピッタリかもしれない。

新宿から京王線に乗って調布の2つ手前、国領で降りる。20年ほど前に始まった駅前再開発で新しい商業施設やタワーマンションが建った。

駅前
高田純次氏の出身地としても知られている。

そこから徒歩1分で目指す居酒屋に到着。

外観
店名は「国領酒場AKICHI」。
メニュー
ハッピーアワーがお得すぎる。

店内を覗くとカウンターの中に看板娘の姿が見える。

店内の様子
先客が2名。

さっそく座ってドリンクメニューを拝見。

カクテルも豊富だが……。

看板娘に好きなお酒を聞くと、「山崎のハイボールですね」。渋い。お値段700円。それをいただきましょう。

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看板娘
「お待たせしました〜」

今回の看板娘は春香さん(24歳)。出身は茨城県高萩市で、高校卒業後に上京。観光系の専門学校に入学した。ここは、当時アルバイトをしていた店なのだ。

ハイボール
「ザ・ハイボール」といった安定の美味しさ。

「旅行が好きなのでそういう学校に入ったんですが、よく考えたら商品として売るより自分で旅行するほうが楽しいということに気付きました」

卒業はしたが旅行会社への道は選ばず、有名なアパレルブランドに就職。立川のデパートで販売員として働き始めた。

「自分に合っていたみたいで、西東京エリアで売り上げがずっと1位でした。お客さんの雰囲気を読み取って、心の中に入り込んでいくスキルは、元々ここのバイトで習得したんですよ」

話しかけるタイミングは「店内をぐるりと回った後でバッグを手に取って内部の機能をチェックし始めたとき」。なるほど、店員の役割を心得ている。

メニュー
フードメニューはどれにしましょう。

迷った末に、オススメだという「和牛ハラミステーキ鉄板焼」(980円)を注文。

和牛ハラミステーキ鉄板焼
驚いたことに、お通し(500円)が北海道産のズワイガニなのだ。
お通し
あらかじめ蒸してあるものを客がセルフで焼いてカニ酢で食べる。
大量のカセットボンベ
大量のカセットボンベは「コン郎」くん。

アパレルブランドを退職した後は、いくつかの仕事を経て最終的にはこの居酒屋に戻ってきた。現在はフル勤務で働いている。

「『AKICHI』という店名は空き地のように人が集まる場所にしたいから。その名の通り、店員もお客さんもみんな仲がいいし、スタッフとしても居心地が最高です」

ここで、カウンターの客から「春香もなんか飲む?」と声がかかった。「いいんですか? じゃあビールを」「山崎のハイボールが好きなんじゃないの?」「ちょっと高いから。遠慮なくいただきます(笑)」。

看板娘とトーク
心の空き地に入り込むトークスキル。

「こないだ金沢に行ってきたんですよ。NCTっていうK-POPグループのライブを観るために。あ、お土産があるんだった」

「高級魚ののどぐろ感はあまりないんですが」と言いながら取り出したのは「のどぐろせんべい」。

看板娘
客全員に配る看板娘。

先ほど店員同士も仲がいいと書いたが、全員で行く旅行も恒例行事だ。

「5年ぐらい前に3泊4日のグアム旅行に行ったんですが、出発時に台風で飛行機が飛ばなくて成田空港泊。みんな帰ったりホテルに戻ったりしたのに、私たちだけ近くのコンビニでお酒を買い込んでひたすら飲んでいました」

無人の空港を満喫できる体験はなかなかなさそうだ。さらに、帰国時もやはり台風が直撃。延泊を余儀なくされ、最終的には5泊6日の旅となる。

プライベート写真
あきらめて現地のカフェでまったり中。

春香さんに得意料理も聞いてみた。

「時々しか作りませんが、餃子とか韓国料理でしょうか。こないだ作ったビビンパは超美味しかった」

ナムル
ナムルも自家製で店で出せるレベル。

気になるのは、そんなに長い爪で料理に支障はないのかということ。

看板娘のネイル
なんと、美しい爪だ。

「料理も水仕事も全然問題ないですよ。え、これも撮るんですか? 伸びすぎてるから恥ずかしい(笑)」

店内
店内にはかわいらしい小上がり席もあった。

さて、満を持してカウンターの皆さんに看板娘の評価を聞いてみよう。

店の様子
どうですか?

「飲み会に呼んでこっちの友達を紹介すると、初対面とは思えないぐらい打ち解けてくれるのでラク」

「山崎のハイボールを飲みたいときは、そういうオーラを出してくるのが面白い」

話を聞いていて思ったのは、春香さんの声のトーンや喋るスピードが非常に心地いいのだ。それは本人も自覚していて、「接客業を続けるうちに本能的にたどり着いた境地」だという。

トイレの看板娘
トイレの看板娘はハンドクリームを持つ担当だ。

さて、そろそろお会計をしよう。読者へのメッセージもお願いします。

メッセージ
楽しく踊っているような文字。

【取材協力】
国領酒場AKICHI
住所:東京都調布市国領町4-8-7 1F
電話番号:042-488-4244
https://www.facebook.com/akichisakaba/

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石原たきび=取材・文
# 37.5歳からの愉悦# 国領# 国領酒場AKICHI# 看板娘という名の愉悦
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