37.5歳からの愉悦 Vol.75
2019.01.10
LIFE STYLE

三軒茶屋の餃子バルで、看板娘の笑顔にひき肉のように包まれた

看板娘という名の愉悦 Vol.47
好きな酒を置いている。食事がことごとく美味しい。雰囲気が良くて落ち着く。行きつけの飲み屋を決める理由はさまざま。しかし、なかには店で働く「看板娘」目当てに通い詰めるパターンもある。もともと、当連載は酒を通して人を探求するドキュメンタリー。店主のセンスも色濃く反映される「看板娘」は、探求対象としてピッタリかもしれない。

「住みたい街ランキング」で毎年上位に食い込む三軒茶屋。

地下鉄の駅は国道246号と世田谷通りの交差点にある。

しかし、三茶のツウは「表通りより裏通りのほうが面白い」と口を揃えて言う。いわゆる「三角地帯」もそのひとつだ。

個人経営の居酒屋が密集するエリア。

エコー仲見世商店街、ゆうらく通り、三茶3番街といった狭い路地が並行して走り、酒好きにはたまらない雰囲気を醸す。今回訪れた餃子バル「GYOZA SHACK(ギョーザ シャック)」も、この一角にある。

場所は3番街の中ほど。

店内を覗くと看板娘らしき女性の姿が見えた。

彼女がそうだろう。

フードメニューの看板メニューは、もちろん餃子。

凡人の発想の斜め上を行くオリジナル餃子がずらりと並ぶ。

看板娘が言う。

「お勧めはロゼワインと一番人気の『SHACK餃子』という組み合わせですね」

これか。

すぐにロゼワインが運ばれてきた。

「お待たせしました〜」

今回の看板娘は真里花さん(22歳)。早稲田大学の4年生で専攻は分子レベルの生物学。

「今やっているのは、謎に包まれたタンパク質をカエルの体内から探す研究です。でも、全然見つからないのでそろそろあきらめ時かなと(笑)」

やがて、餃子も到着。「竹の子と白ゴマのシャキシャキ餃子」も追加で注文している。

それぞれ、特製のソースでいただく。

「すべての餃子メニューはニラとニンニクを使っておらず、女性の方でも安心して召し上がれます。餃子にもお味がついているので、まずはそのままで。それからソースをつけて、最後にガーリックオイルで味変を楽しんでください」

もっちりとした餃子の断面も蠱惑的。

これがとんでもなく美味しかった。フルーティーなロゼワインにもよく合う。じつは、メディアの取材依頼がひっきりなしに来る超人気店だったのだ。

情報誌では“進化系餃子10選”という評価も。

餃子のクオリティに感動しつつ、店長の大塚武史さん(34歳)に看板娘評を聞いた。

「この子は笑顔が最強の武器」と前置きしたうえで……。

「どんな層にもハマるから、お客様にはずいぶんかわいがられています。僕は飲食歴が長いので、大体の人間は目を見れば何を考えているのかわかるんですが、この子は読めない。そういう面白さも持っていますね」

大塚さんは求人ボードに冗談で「ボブが似合う子」「中条あやみちゃん似」などと書いていたが、面接に現れた真里花さんを見て「波瑠みたいな子が来たじゃん、即採用!」となったそうだ。

やはり「笑顔」は必須条件。

「本当はネクラ。趣味もほとんどないし」と謙遜する真里花さんだが、意外にもアクティブな性格だった。昨年の春には研究仲間の女性とベトナムのジャングルツアーを体験した。昔から「明るくて勢いがある」と言われてきたそうだ。

大蛇にも巻きつかれても笑顔を絶やさない真里花さん。

「メコン川の支流をボートで下るツアーで、蛇を含めてトータルで6000円ぐらいでした。すごく楽しかったですね」

旅行中に食べたものの中で印象的だったのは、おばちゃんが路上で売っているサンドウィッチ。

いわゆる「バインミー」だ。

「バンズにレバーパテを塗って、ナマスみたいな野菜とパクチーを挟んで食べるんです。あれが一番美味しかった」

この店の話に戻そう。

「餃子のレシピは店長を含めてスタッフ全員で考えます。ただ、私は一切料理をしないので、あまり貢献できていないんですが(笑)」

広々とした2階席もある。

そう言う真里花さんに、店長が「料理は大学生の男子レベルだから期待してないよ。最高の笑顔と最高の接客だけで十分」と笑う。

系列店もたくさん。
体の前で手を組むのが真里花さんの癖。

今日注文した餃子は2品だったが、チャイナソースとわさびを添えた「チンジャオ餃子」やゴルゴンゾーラがたっぷり入った「ゴルチキ餃子」など、通いつめて食べたいメニューが多すぎる。

盛り付けも大変美しい。

ここで真里花さんが「次回は、ぜひデザートの『ドルチー餃子』も召し上がってみてください」と言いながら写真を見せてくれた。

「餃子のデザート」という発想がすごい。

左はバナナとクリームチーズ入り、右のベリーソースがかかっているのはレアチーズ入りだという。味の想像がまったくつかない分、興味をそそられる。

また近々お邪魔します。では、最後に読者へのメッセージを。

明るくて勢いがある字が斜め上に伸びる。


[取材協力]
GYOZA SHACK(ギョウザシャック)
世田谷区三軒茶屋2-13-10
03-6805-4665

# ギョーザ シャック# ワイン# 看板娘# 餃子
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