看板娘という名の愉悦 Vol.26
好きな酒を置いている。食事がことごとく美味しい。雰囲気が良くて落ち着く。行きつけの飲み屋を決める理由はさまざま。しかし、なかには店で働く「看板娘」目当てに通い詰めるパターンもある。もともと、当連載は酒を通して人を探求するドキュメンタリー。店主のセンスも色濃く反映される「看板娘」は、探求対象としてピッタリかもしれない。
“ハッカー”といえばコンピューターを乗っ取って悪さをする人というイメージがある。しかし、本来は「難しい課題を簡単に解決したり、高い技術力で思い描くことを実現する人」を指す言葉らしい。
そんな心やさしきハッカーがおもてなしをするバーが六本木にある。
飲食店が多数入ったビルの4階に上る。
「ライブプログラミング」とは、ハッカーが客の目の前でコーディングやプログラミングをしてくれるパフォーマンスだ。
内装はオーセンティックなバーだった。しかし、店のスタッフと客の全員がノートパソコンを開いている。
席に着いてドリンクメニューを見ると、ハッカーにちなんだオリジナルカクテルがある。名前の由来がよくわからないまま、「ブルースクリーン」を注文した。
おっと、異例の展開だ。じつはこの男性、看板娘のお知り合いで、「ぜひ撮影を担当したい」と申し出てくれた方である。従って、今回の記事は僕が撮ったこの写真以外は彼の高級ミラーレスカメラによるカットです。
彼の本職はエンジニアだが、「断空我」というペンネームで学生時代からライターとしてパソコン雑誌などで活躍していた、その筋では有名な御人なのだ。
気を取り直して、看板娘にご登場いただこう。
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