37.5歳から旅立つ、マネークエスト Vol.5
2018.06.20
LIFE STYLE

RPGには“守り”も必要? 誰も教えてくれない保険との正しい付き合い方

37.5歳から旅立つ、マネークエスト Vol.5
誰が言ったか知らないが「人生はゲームみたいなものだ」という名言がある。確かに、人生なんて、リアルなRPGみたいなものかもしれない。実際、RPGも人生も、お金は大事だし……。この連載では、人生に困らないだけの「お金」を手にする方法を身につけるためにクリアしなければいけないミッションを「マネーRPG」と命名。マネー賢者の元へと修行に赴き、お金に困らないためのスキルを身につけていく。37.5歳、まだまだ遅くない。いざ、旅立ちのとき!

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貯蓄の大切さと、投資信託をメインとした投資入門のコツを知った我々。これまで何もしてこなかった分、ガンガン攻めに転じていきたいところだが、ちょっと待った。何があるかわからない人生、“守り”の考え方も必要かも。

そういえば生命保険・健康保険も勧められるがまま加入したけど、どう見直せばいいのだろう……。そもそもの「保険との付き合い方」と、40歳手前での保険見直しのコツを学びに出かけよう。


保険の見直しは、①保障額、②保険の形、③期間をチェック

今回、我々が訪れたマネー賢者は、ファイナンシャルプランナーの平野雅章さん。大手保険ショップ運営会社のマーケティング部門でPRや保険ショップの新ブランド立ち上げなどを手掛けた後、ファイナンシャルプランナーに転身した保険のエキスパートだ。

RPGでも敵にやられたときに回復するための薬草など、万が一の事態に備えたアイテムは必需品。より良いアイテムを求めるが如く、私たちも、より良い保険を装備しておきたい。

しかし、今加入している保険といえば、「えーと、何だっけ」という人も多いのではないだろうか。なぜなら、保険って複雑だから。

「まずは、保障と保険の違いを知って、きちんと整理することが始めましょう」と平野さん。えっ……保障と保険って違うんですか?

「保障はリスクに対する役割を表しており、保険は保障を得るための個別の商品と考えるとわかりやすい」と平野さん。大別して整理すると、以下の通り。

とくに最近は「就業不能保険」が売れ筋なのだとか。もし、社会人になりたての頃に保険に入りっぱなしになっていたら、これは装備しておきたいアイテムかもしれない。

平野さんからは、「40歳前後の人が社会人になりたてのときに入った保険と今の保険では、状況がかなり変化しています。なにより、本人のライフスタイルや家族構成も変わっていることが多いので、その点も加味して見直すといいでしょう」とアドバイス。

確かに、ネット系生命保険会社の台頭、保険料算出の基礎となる標準生命表の死亡率低下(つまりは、みんなが長生きになったということ)による生命保険料の引き下げなど、保険の変化は著しい。20年近く見直していない人は、見直す価値がありそうだ。でも、どうやって見直せばいいのだろう。

保険の見直しと聞くと、より掛金が安くて、手厚い保障の保険商品に乗り替えるというイメージがあるかもしれない。しかし、それは必ずしも正しくないという

「新入社員時代に加入した保険を解約して、40歳前後の今、改めて保険に入り直そうとすると、若いときよりも病気や死亡のリスクが上がっているので、結局は掛金が高くなることもあります」と平野さん。

むしろ、「現在のライフスタイルにおいて、①保障額、②保障の形、③保障期間、の3つが適切かどうかを見直すことが必要」と教えてくれた。

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子供が成長すれば、受取額を減額するという選択肢もある

では、まず死亡保障の見直しからだ。

①の「保障額」だが、これは多ければ多いほどいいわけではない。保障が手厚ければ、掛金も高くなるからだ。重要なのは「保障額が適切かどうか」。それを「必要保障額」と呼ぶのだという。

「必要保障額は、遺族の収入と支出から算出します。例えば、夫が死亡した場合で考えましょう。

支出は妻の一生の生活費、子供が成人するまでの生活費や教育費など。収入は共働きの場合は妻の給与、遺族年金、死亡退職金、貯蓄、持ち家の場合は団信(団体信用生命保険の略で、住宅ローンで家を購入する場合に加入する。死亡または所定の高度障害状態になった場合、保険金で住宅ローンを返済)による住宅ローンの返済など。

これらを計算した結果、収入で足りない分が必要保障額となり、それを超える保障は過分ということになります。場合によっては、保障を減額するという考え方もあるでしょう」と平野さん。

減額は、どの保険会社でも簡単にできる。ただし、増額は原則できず、現在の年齢による条件で不足分を新たに加入することになるので、比較的掛金が安い損保の生命保険子会社などで、別途必要額の生命保険に加入するといった方法が考えられるという。

②の「保障の形」は、あまり聞き慣れない言葉かもしれない。平野さんによると、「保険には四角の形と三角の形がある」という。

四角の形とは、保険期間中の保障額が一定の保険。30歳で死亡しても50歳で死亡しても、保障額が同じ保険はこれにあたる。

三角の形とは、保険期間が長くなるに伴って保障額が小さくなる保険。30歳で死亡したときには3000万円もらえるが、50歳で死亡したときには600万円しかもらえない保険、例えば「収入保障保険」はこれにあたる。

実は、①で計算した必要保障額は、年齢を重ねるほど少なくなっていくのが普通。大きな要因は、子供の独立までに必要な教育費や生活費の総額が減るからだ。もし、子供が小さいときに四角の形の保険に加入したが今は成長して大きくなったという人は、三角への見直しをするといいだろう。

③の「期間の見直し」は、例えば、60歳から65歳まで保障期間を延ばすケースだ。子供が誕生したタイミングで、60歳までの生命保険に入ったとしよう。60歳とは、子供が社会人となるときの自分の年齢である。自分が死んでも社会人になるまでの生活費や教育費を保険で賄う考え方だ。しかし、その5年後に2人目の子供を授かった。その場合、その子が成人するのは65歳。よって、65歳まで生命保険の期間を伸ばすことなどが考えられる。

「①から③を見直した上で、今のライフスタイルに合ったよりよい別の保険商品があれば、それに乗り替えるという選択肢も出てきます」と平野さん。保険の見直し=保険商品の見直しではなく、まずは保障の過不足を確認することから始まるのだ。

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公的制度を上手く活用すれば、医療保険が必要ない場合もある

次に、医療保障の見直しだが、平野さんからは、「医療保険はそれ自体が必要かどうかを見直すことが重要」と驚きの発言があった。だって、もしも入院したら、お金がかかっちゃうじゃないですか。

「日本は公的制度として、『高額療養費制度』が存在します。年齢や所得に応じて支払う医療費の月の上限が決まっており、それを越えた分は申請すれば戻ってくるのです(入院時の食費、個室などの差額ベッド代、保険外治療は自己負担)。

また、企業の健康保険組合によっては、1カ月間の医療費の自己負担限度額を高額療養費制度が適用される金額より低く決め、限度額を超過した費用を払い戻してくれる『付加給付』といった制度もあります。最近は入院期間も短くなっているので、こういった制度を活用することを念頭に、医療保障には入らず貯金をしておくほうが、無駄の少ないケースもあります」。

ただし、入っていたほうが良い医療保障の保険商品もある。平野さんは「治療期間中は給付金が受け取れるタイプのガン保険に、就業不能保険を加えるとより安心」と教えてくれた。

「保険の加入は、発生確率と損失額の組み合わせで考えます。例えば若くして亡くなったりガンになったりする発生確率は小さいが、もしなると収入が失われたり減ってしまう損失は大きい。こういったものには保険を掛けておくのです。逆にさまざまな病気やケガで治療費がかかることは、発生確率は多いが損失額は小さい。こういったものは、貯金で対応が可能です」。

そこで、発生確率は小さいが損失額が大きい若い年齢での死亡やガンに備えて、生命保険やガン保険への加入となるわけだ。

しかし、ガンも健康保険の対象となる治療だけなら高額療養費制度や付加給付で対応が可能だ。問題なのは、治療費というよりも、抗ガン剤など通院治療が長期化することによって収入が減ること。

実際、就業不能までいかなくても、治療の負担により配置転換や時短勤務など働き方に配慮してもらう、あるいは転職するケースは珍しくない。こういった収入減にはどう備えればいいのだろう。

「一般的なガン保険は、ガンと診断されたら一時金、加えて入院期間に応じた入院給付金が支払われます。しかし、これらの保障では通院による抗がん剤治療が長期化しても給付金額が増えるわけではありません。そこで、主な保障が治療期間と連動するもの、例えば抗がん剤などの治療を受けた月は20万円が受け取れるという保障を選べば、通院治療であっても保険金が支払われる。治療の長期化で収入減に見舞われても、とりあえず収入が補てんできます」。

「これに加え、全く働けなくなったときに給付金が支払われる就業不能保険も加入しておくといいでしょう。また、勤めている会社や所属団体によっては、社員や団体員だけが加入できる、GLTD(団体長期障害所得補償保険)という保険があるので、こちらも検討しましょう」。

20代前半になんとなく入った保険。それから約20年も経過していれば、ライフスタイルも大きく変わっている。実は、保険を見直すということは、現在のライフスタイルを確認して未来に必要なことを考える作業にほかならない。

人生100年時代だからこそ、これからかかるお金と入ってくるお金、そして、不測の事態で足りなくなるお金をしっかりと把握しておくようにしよう。それが出来ていなければ、万が一のときに破産をして、ゲームオーバーになってしまうぞ。

次回は、37.5歳から入っておきたいイチオシの保険について。基礎に続く応用編で、守備固めといこう。乞うご期待。

コージー林田=取材・文


【今回のマネー賢者】
平野雅章
2000件超の実績を持つ相談専門ファイナンシャルプランナー(CFP®認定者)。百貨店・外資系メーカーでマーケティング・マネージャー等を務めた後、大手保険ショップ運営会社のマーケティング部門でPRや保険ショップの新ブランド立ち上げを手掛ける。2007年ファイナンシャルプランナーとして独立。サラリーマン家庭の経済的な不安解消を使命とし、横浜FP事務所を主宰。2011年より一般社団法人全国ファイナンシャルプランナー相談協会の代表理事。神奈川県立産業技術短大で非常勤講師も務める。

# マネークエスト# 保険
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