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2018.03.01

ライフ

マイナス11°Cの極寒ウェーブ 〜Frozen Surf〜


ただくつろぐだけでも気持ち良い時間を過ごせ、サーフィンをした瞬間に人生は大きく変わってしまう。ひとつのシーンからそんな海の魅力を発見していくコラム。
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今回は「Frozen Surf」


気温マイナス11°C。その外気は冷凍庫の中とほぼ変わらない。すると海がシャーベット状となった。沖合は風が吹きすさぶ嵐でありながら、みぞれ状態であるためかビーチ近くの海面は穏やかなまま。しかもきれいな形の波を作り出していた。
この波は、今年の1月2日、米国マサチューセッツ州ケープコッドの沖合にあるナンタケット島で発生したもの。ズズズッ、という具合に崩れていく波を目指し、氷点下に近い海の中へパドルアウトしたサーファーは、実際に波に乗ったあとで「流砂の中でサーフィンしているようだった」と振り返った。
まれに見るその様子は地元の写真家ジョナサン・ニマーフロにより発信され、世界中から多くの人の関心を引いたことで動画再生は瞬く間に10万回を超えた。タイトルは「Slurpee Waves 2018(シャーベット状の波)」。2015年に続けて2度目となる不思議な自然現象が、信号機すらない小さな極寒の島を一夜にして世界の中心に変えたのだ。

ナンタケット島は、米国マサチューセッツ州ケープゴッドの南48kmに位置する。富裕層の避暑地として夏は盛況を見せるが、閑散期の冬は地元の人だけが暮らす静かな島へ。ファストフードのチェーン店もない島の人口は1万5000人ほど。その中のひとり、写真家ジョナサン・ニマーフロは、2015年に続き、2度目となるシャーベット波を記録。冷たい海の奇妙な様子を、自身のウェブサイト(www.jdnphotography.com)で発表している。
ジョナサン・ニマーフロ=写真 小山内 隆=文・写真セレクト


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