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2017.12.25

あそぶ

ドリッパーで煎茶? 常識を覆す画期的な日本茶が絶品だった


日本茶と言えば、急須にお茶っ葉を入れて、お湯を注いで……と、たいていの人なら作り方の想像はつくだろう。もちろん間違っていないが、最先端の日本茶は、コーヒーのようにドリッパーを使って入れているのだという。果たしてどういうことなのか。

伺ったのは、三軒茶屋にある東京茶寮。

「25種類ほどのお茶を取りそろえています。味や香りから、お好きなものをお選びいただけますよ」。
こう語る店長の野口三基さんの佇まいは、ほとんどバリスタ。筆者が熟考の末チョイスしたのは、養分の通り道で甘みを蓄えた茎を加えた、ライトな印象の「香駿雁金」と、スタンダードなお茶の味と香りが自慢の「やぶきた やめ」のふたつ。

ミニマルでムダをそぎ落とした美しい佇まいの店内で、コーヒーのように淹れる煎茶とはどんな味なのか、さっそく実践してもらおう。


まず銅仕上げのスタンドに、タモ材と波佐見焼でできた特注の煎茶ドリッパー(非売品)をセット。金属製のフィルターの上にキッカリ4gの茶葉を乗せる。

円を描くようにお湯を入れる。満タンまで入れて120cc。70℃で1分20秒の蒸らしをする。
「蒸らしは茶葉をお湯に浸けることで、味を抽出するんです。この作業が煎茶を淹れる工程でとても大事ですね」

そっとしておくと、お湯の入ったドリッパーの自重でお湯が落ちない仕組みだ。蒸らし終え、ちょっと持ち上げると、下に添えられたビーカーにお茶が落ちるというわけ。

そしてお待ちかねのテイスティング。ワイングラスの形状を模したという白い茶碗から、美しく輝くお茶が香り立つ。「香駿雁金」はまろやかだけどすっきりしている。優しい味だ。「やぶきた やめ」は苦みと渋みがほどよく感じられ、深みのある味。同じ煎茶ながら、味わいの違いに驚く!
だがさらに驚きなのがここから、二煎目だ。

「二番煎じというとネガティブな印象を持つかもしれませんが、まあ試してみて下さい。2回目以降はお湯の温度を高くして、80℃。蒸らしは10〜15秒。あまりお湯に浸けるとえぐみが出ます」
こうしていただいた二煎目は、鮮烈な香りと奥深い苦み、そしてコクを増している! 二番煎じという言葉は、今後はポジティブな意味で使いたいと思う。

「三煎目以降も楽しんでいただけます。ちょっと玄米を加えて、玄米茶にしてみましょうか」。

煎じ終えた茶葉の上に玄米をパラリ。そして再び二煎目と同様の工程でお茶を淹れる……や否や、一面に香ばしい香りが漂う。口に含むと期待を裏切らない香ばしさ。ベースとなるお茶の味と相まって、複雑な陰影が口の中で踊る。これは楽しいアレンジだ。
「複雑なことはしていないんです。昔から延々と受け継がれてきた煎茶の淹れ方に忠実なんですよ」。

とはいえ、サーバーセットは非売品。自宅で再現するには難しいが、東京茶寮では「透明急須」(3500円)という便利でオシャレなアイテムを出している。
「『宝瓶(ほうひん)』という片手で使う急須に着想を得たのですが、宝瓶は熱くなるので使いにくいんです。これは透明度の高い特別な合成樹脂製なので、中の様子が一目瞭然です。サーバーと同じく120ccで、同じ味わいが楽しめますよ」。
ちなみに自宅で淹れる際に気をつけたいのは、お湯の温度だとか。一煎目は70℃、二煎目以降は80℃というポイントを押さえれば、一般的な急須でもおいしく淹れられるとか。

「実はコーヒー豆より味の違いがわかりやすいんです」と野口さん。まぎれもなく深い文化性があり、探求するにも奥深い。なにやら新たな嗜好品として、今さらながらにピッタリである。そしてそんな新たなお茶の淹れ方を学ぶワークショップを、下記日程で開催。気になる人は、ぜひチェックしていただきたい。
※募集は終了いたしました。たくさんのご応募ありがとうございました。
【募集概要】
日時:2018年1月28日(日)
(1) 10:00受付 10:30-12:00
(2) 13:00受付 13:30-15:00
(3) 16:00受付 16:30-18:00
場所:東京茶寮 三軒茶屋店
東京都世田谷区上馬1丁目34−15
http://www.tokyosaryo.jp/
※直接会場までお越しください
定員:27名(3部入れ替え制)
参加費:
・雑誌OCEANS定期購読者:無料
・一般読者:3000円
*雑誌OCEANS定期購読者の方は、お連れ様1名まで無料です。
*当日会場にて現金でのお支払いとなります。必ずご用意ください。
締め切り:2018年1月14日(日)
*当選者の発表は、メールの発送をもって代えさせていただきます。


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