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2017.12.24

ライフ

「資産価値が高い家」に住むと離婚しやすいのは、本当か?


「不動産の噂の真相」を最初から読む
不動産の噂の真相Vol.9
オーシャンズ世代にとって“避けては通れない未来”のひとつに、「住まいをどうするのか」というテーマがある。結婚し、子どもが生まれ、やがて巣立っていく――そんな人生の物語をつむぐ舞台=住まいについて、実は私たちはそこまで深い知識を持っていない。なんとなく周りの意見やメディアの見出しやウワサ話に踊らされてはいないだろうか。この連載では、元SUUMO新築マンション編集長が、世の中に出回っている“不動産のウワサ”について徹底検証。信じるも信じないも、あなた次第です。

万が一、離婚となったときに直面する「財産をどう分割するか」問題

「離婚」。どんな夫婦もできれば避けたい事態だろうし、現状、その気配すら全くない夫婦が一般には多数派だろう。ただ、現実を見ると2016年の「離婚数」は推計で21万7000組にのぼり、1996年以降、毎年20万組以上が離婚している(厚生労働省人口動態統計より)。ちなみに同じ統計で2016年の「婚姻数」は62万1000組であり、めでたく結婚したカップル数の3分の1相当数の夫婦が離婚していると考えると、「離婚」はレアな出来事では全くないとも思える。
オーシャンズ読者諸兄が、たとえ離婚する可能性が極小であったとしても、マイホームという不動産を購入するならば、万が一の事態について想定しておくことを老婆心ながらお勧めする。というのは、万が一、離婚という状況におかれた場合、「財産をどう分割するか」という問題に直面するからだ。現預金や有価証券などの金融資産であれば数字を分けるだけだが、マイホームという不動産の場合は、そう簡単にはいかない。
最もシンプルなのは、マイホームを売却して換金し、現預金などと同じように分割する方法だ。しかし、マイホームは分割対象の資産であると同時に、リアルタイムで生活を営んでいる場でもある。別れるのが夫婦ふたりだけなら、一緒に暮らした記憶が宿るマイホームなどさっさと売り払い、それぞれ別々の場所に移り住むことに躊躇はないかもしれないが、子供がいる場合は単純ではない。
子供にしてみれば、ただでさえ両親が離婚するという非常事態だ。そこに、心の支えになるかもしれない、地域のコミュニティや学校の友人との関係までゼロリセットされては、人格形成途上の子供にとって大人には計り知れないストレスになりかねない。そうした懸念が深刻ならば、子供を引き取るほうが住み続けられる形で、財産の分け方を模索するしかないだろう。


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