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2017.12.18

ライフ

クリスマスにうなぎ!?「冬こそ、うなぎ」の3つの理由


【特集】オッサンとクリスマス
クリスマスにワクワクしなくなったのはいつからだろう。大人になってから? 結婚してから? それとも子供ができてから? もっとオッサンだってクリスマスを楽しんでいいはずじゃない? 家族のためだけじゃない、オッサンがクリスマスシーズンと聖夜当日を楽しみ尽くすためのヒントをご紹介します!

クリスマスにチキン、が悪いわけではないけれど

クリスマスにチキンを食べる習慣は、日本でいつ頃から根付いたのだろうか。米国の白髭のおじさんがニッコリ微笑むお店で、バケツいっぱいのチキンを買って帰るオッサンが街に大量発生する状況を悪いとは言わないが、やはり何か日本的情緒が欲しいと、40代を過ぎた私は思う。
そんな私がオーシャンズ世代のオッサンに向けて、クリスマス時期に推したい食材が“うなぎ”である。聖なる夜のために精をつける、とかそういう下ネタ的なことを言っているわけではない。冬場こそ、うなぎを食すべき理由があるのだ。
自由が丘の老舗で知られる「蒲焼割烹 八沢川(やざがわ)」の女将、佐々木圭子さんのご協力をいただきながら、以下、冬のうなぎの魅力を語っていきたい。
自由が丘の九品仏川緑道のクリスマスネオンと、うなぎのコントラストがいい
 

冬こそ、うなぎ。その理由①

うなぎの旬は、冬。つまり、美味しいうなぎを食べるなら、冬場なのだ。ついつい、うなぎは夏場の「土用の丑の日」に食すもの、だから夏場が旬だと思い込んでいる人も多いのではないか。いや、夏場のうなぎも美味しいは美味しい。しかし「冬は別格」だと、女将の佐々木さんは語る。
「土用の丑の日ってのは、年に4回あるんだけど、夏だけがやたらと盛り上がっちゃって。でも実は冬の土用の丑の日の方が、美味しいの。やっぱり冬眠前に栄養を溜め込むから。そのことを知っているお客さんは、少なくなったかもしれないわねぇ」。
確かに「天然物」のうなぎは、産卵のために川を下る10月末以降が旬だと一般的には言われているが、そもそも「天然物」は日本全体の漁獲高の約1%に過ぎない希少品である。私たちが口にできるのは、ほとんど養殖ものだ。それでも旬は冬と言えるのだろうか。
「うちでも天然物は、めっきり少なくなったんです。4~5年前は“天然うなぎ、入りました”なんて表に貼り出してたこともあるんだけど。なので、うちも養殖がメインなんだけど、ハウスじゃなくて露地物を使っているんです。天然に近いから、やっぱり冬が美味しい」。
露地物とは、一般的には露天の畑で栽培された野菜や花のことを言うが、“うなぎの露地物”とは、露天の池(露地池)で自然に近い状態で養殖されるうなぎのことを指す。池にビニールを張る通常の養殖と比べて、手間がかかり長年の経験が必要とされる。同じ養殖でも、ハウスのうなぎとは別物だと考えるのが良さそうだ。
 

冬こそ、うなぎ。その理由②

うなぎは、栄養価が高い食材として知られているが、その中身を詳しく調べてみると、まさに“食べる薬”と言える。
うなぎに含まれる栄養素には、ビタミンA、B1、B2、D、EやDHA、EPA、 ミネラル(鉄、亜鉛、カルシウム)などがあり、1食摂れば、免疫力が高まり、疲労回復につながるとされる。夏バテはもちろん、体調管理が難しい冬場にこそ、効果が発揮される食材なのである。
女将さんおすすめの、うな重<松>3500円。当日朝に割いたうなぎで作る
「うなぎはね、カロリーが高いから糖尿になったら控える、なんてお客さまがいらしたりするけど、それは勘違いなんです。実は、うな重一杯でだいたい600キロカロリー。少ないでしょ。蒲焼はうなぎの余計な脂を落とすこともあって、本当はとってもヘルシーなんです」とは女将の佐々木さん。
「最近は健康志向が高まってきているけど、そういう意味でもうなぎはおすすめです。ただしビタミンCは採れないので、そこだけは注意ね」とのこと。
 

冬こそ、うなぎ。その理由③

うなぎには、特別なムードがある。うなぎを提供しているお店自体のホスピタリティが高く、年末年始のイベントや記念日を祝うに適している。八沢川さんの店内も、老舗らしい情緒がある。
「うちには、テーブル席以外にも、カウンターや個室の座敷があるんです。個室でも特に席料はいただいてないんです。最近は、若いカップルの方もお見えになりますよ。うなぎを使ったコース料理は、女性の方にもとても喜ばれるから、ぜひ記念日に使ってもらいたいわ」。
クリスマス時期の予約はどうなのだろうか。
「おかげさまで、年末年始はファミリーでのご利用や大人数の宴会で予約が入っていますが、カップルでのご利用なら意外と空いている日もあります。うちは、土日のほうが空いていることが多いの。今年のクリスマス時期は休日ですから、お問い合せください」。
今年はうなぎで、大人のクリスマス、というのも味わい深いのではないか。私もひさびさに妻を誘ってみようかな……。
取材・文/藤井大輔
【取材協力】
蒲焼割烹 八沢川
住所:東京都世田谷区奥沢5-25-12
営業時間:[月~土]11:30~20:30(L.O.20:00)[日・祝]11:30~20:00(L.O.19:00)
電話番号:03-3717-7950


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