不動産の噂の真相 2017 Vol.5
2017.10.29
LIFE STYLE

マンション管理組合の活動は面倒な割に成果が少ない、は本当か?

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不動産の噂の真相Vol.5
オーシャンズ世代にとって“避けては通れない未来”のひとつに、「住まいをどうするのか」というテーマがある。結婚し、子どもが生まれ、やがて巣立っていく――そんな人生の物語をつむぐ舞台=住まいについて、実は私たちはそこまで深い知識を持っていない。なんとなく周りの意見やメディアの見出しやウワサ話に踊らされてはいないだろうか。この連載では、元SUUMO新築マンション編集長が、世の中に出回っている“不動産のウワサ”について徹底検証。信じるも信じないも、あなた次第です。

管理組合の取り組み次第で、その後の資産価値に差が出ることも

前回、マンションの管理費を払う意味や価値について紹介したが、実はマンション管理においては、管理費というお金のこととは別に、もっと根本的な懸念がある。それは、マンションには管理組合があって、その理事長や理事などになったら面倒だ、というウワサだ。実際、「今年、マンションの理事長が回ってきて大変だ」なんてセリフを、会社の先輩や同僚、知人・友人などから聞いたことがある人もいるのではないだろうか。

マンションの管理組合活動が本当に面倒かどうかを論じる前に、その仕組みについて簡単に説明しておこう。一般に分譲マンションでは、各住戸の所有者(正確には区分所有者という)で構成される管理組合がつくられる。多くの場合は、所有者=住人=管理組合員となり、そこで快適に暮らしていくための管理組合活動がなされる。ただし、所有者自身は住まずに賃貸に出している場合、賃借住人は管理組合員にはならない。

管理組合の運営には、さまざまな意思決定が必要になるが、都度、所有者全員が集まって決議するのは大変だ。そのため、所有者の代表として理事長と理事を選出して、選ばれた数名の理事会で意思決定をしていく。理事会の主な仕事は、管理会社に指示や要望を出したり、居住ルールを改訂したりすることだが、たとえば管理費の平均が月1万5000円の総戸数100戸のマンションなら、月に150万円もの使い道を決める役割も担う。理事会が特定の人に固定されると不正の温床となるリスクがあるため、一定期間ごとにメンバーを入れ替えながら引き継いでいくのが一般的だ。

前置きが長くなったが、本題の「マンションの管理組合活動は大変なわりに成果が少ない」というウワサの真偽ついては、大変な場合もあればそうでない場合もあり、成果については実はパワーをかけた分だけ、プラスにはね返ってくることもあるというのが答えだ。理事会を形式的に済ませて委託する管理会社の提案通りに丸投げすれば、ラクはできるが、可もなく不可もない管理にとどまることが多いだろう。逆に管理会社をパートナーとしつつも理事会が意志をもって管理に取り組めば、相応の成果を得られることもある。そして重要なことは、その成果が住環境の改善にとどまらず、資産価値に表れる場合もあることだ。

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「違いを生み出す」管理で人気のマンションは、資産価値の維持率が優位に

マンションの資産価値は、将来的にそこに住みたいという人がどれだけ現れるかで決まる。一般には、通勤に便利な都心部ほど資産価値は維持されやすいのだが、かといってすべての人が都心部に住みたがる訳ではなく、どんな街でもその地域を好んで住む人は大勢いる。そうした人が地域限定で家を探すときに真っ先に候補に挙がるような、地元の人気マンションであれば、資産価値の維持率は地域の平均を上回る可能性が高い。そして地元人気を左右するのが管理の良し悪しであり、さらに言えば「違いを生み出す」管理なのだ。

理事会が活発なマンションでは、地元の評判を高める取り組みが行われやすい。例えば、敷地が広い大規模マンションなどで、地域を巻き込んでお祭りや季節のイベントを企画したり、年月の経過とともに使われなくなった共用スペースを地域のサークル活動などに有料で貸し出し、管理組合の財務を改善してより手厚い管理に使ったり、事例はさまざまある。そうしたことの積み重ねが地域の評判を生み、地元で人気化することにつながっていく。管理会社に丸投げだと管理の質が落ちる訳では決してないが、地域の他のマンションと比べて優位性を生む独自の取り組みができるかという点で、理事会が意志をもつことが重要になるのだ。

住環境を改善したり資産価値を維持するために自分でできることが少ない一戸建てと比べれば、マンションは工夫のしようがあり、自ら手を挙げることもできる。そして一緒に取り組む仲間もいる。余談になるが、以前に取材したあるマンションでは、イベントの企画や組織のマネジメントの経験を積めたうえ、世代を超えた人脈が広がったと理事会への参加を前向きに話す20代の理事もいた。マンションの管理組合活動は、たしかに面倒な側面もあるだろうが、関わり方次第で有意義な活動にすることもできるのだ。

取材・文/山下伸介
1990年、株式会社リクルート入社。2005年より週刊誌「SUUMO新築マンション」の編集長を10年半務め、のべ2700冊の発刊に携わる。㈶住宅金融普及協会の住宅ローンアドバイザー運営委員も務めた(2005年~2014年)。2016年に独立し、住宅関連テーマの編集企画や執筆、セミナー講師などで活動中。

# マンション# 不動産# 住まい# 東京
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