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2017.07.01

ライフ

まったくゼロから30代後半で毎月20万円の不動産収入。総資産が1億5000万円になった“僕”がやってきたこと

聞きたい。でも、なかなか聞けない。オーシャンズ世代にとっては、その筆頭格ともいえるのが、「お金の話」なのではないでしょうか。同世代と飲みに行っても、実は意外にしないのが、お金の話。でも、もしかしたら、同世代でこっそりうまくやっているヤツがいるとしたら……。ちょっとうらやましい額の資産を持っていたりしたら……。
ということで、なかなか聞けそうにない話を、聞いてくることにした本企画。第1弾「まったくゼロから金融資産が3000万円になり、7000万円のマンションを買った僕がやってきたこと」に続き、第2弾でご登場いただくのは、IT系スタートアップ幹部で30代後半のTさんです。全6回にわたって、Tさんが「こっそりうまくやっている」マネー運用術をご紹介していきたいと思います。

33歳で結婚したとき貯金はゼロ。しかしその5年後には5つのマンションを所有することに

スタートアップ企業の幹部、Tさん「20代で工場勤務していた頃は、年収300万円程度でした」
33歳で結婚したとき、趣味のクルマや無軌道なお金の使い方をしてきたせいで、貯金はほぼゼロ。ところがそこから、わずか5年ほどで一時は自宅を含めて5つのマンションを持つという資産家になるのです。今はふたつのマンションを手放してしまいましたが、30代後半にして毎月20万円の不動産収入があります。しかも自宅以外の不動産は、なんとリゾート地沖縄のマンションなのです。そして、ふたつのマンションの売却利益を頭金にした自宅マンションは、都心の超一等地にある8000万円人気物件。なんともうらやましいことになっています。
Tさんに一体、何が起きたのか。
大学を卒業後、大手メーカーに入社したTさん。最初の配属は地方の工場。年収は300万円に満たなかったと言います。
「手取り15万円ほどでした。その頃は、年収が500万円になったら、さぞやすごい暮らしができると思っていました。ましてや700万円、1000万円になったら、もうウハウハで大変なことになるんじゃないかと」
その後、30歳まで会社で過ごし、年収は右肩上がりで上がっていきましたが、イメージはどうにも違っていたと言います。しかも立ち上って間もないベンチャー企業に参加し、会社が軌道に乗り年収が1000万円になっても、それほど変化はなかったそうです。
「お金が増えた感じがまったくしなかったんです。今の会社に転職直後の数年は、ほとんど寝ずに働くような状態で、ようやく収入が上がったのに、その実感はまるでありませんでした」
なぜなら収入が上がった分、お金を使ってしまうのと、税金もがっぽり持って行かれてしまうからです。しかもTさん、資産運用のようなものにはほとんど関心がありませんでした。マネー誌などを読んだりして、自ら主体的に何かしよう、という気持ちにはなかなかなれなかったそうです。

それなりに稼いでいても、資産は残らない。働くのをやめたら即収入がストップする状態が辛くなった

Tさん「車が大好きだったんですが、それがお金の貯まらない元凶と気づいたんです」
「ただ、あるときふと思ったんですよね。それなりに稼いでいるのに、まったく何も残っていない。これはあまりに寂しいじゃないかと。たしかに好きなときに好きなものが買えるようになった。いいスーツを買ったり、ビールがヱビスになったり(笑)。でも、それくらい。“消費”はさんざんして多少豊かな『気分』にはなるのですが、命を削る思いで稼いだお金は“資産”になってはいかないわけです」
働くのが大好きで、仕事自体に生きがいを感じるタイプなら良かった、とTさんは言います。
「僕は仕事に結構ストレスを感じるタイプだったので、いくら稼いでも、働くのを止めたら即収入が止まるという状態が辛くなってきて。なんとか労働と収入を少しでも分離できないかなぁ、と」
年収が1000万円を超えたとき、友人たちに投資に誘われたそうです。株式をやってみないか、FXをやったらどうだ……。ところが、Tさんは惨敗してしまいます。
「株もFXも、勝った試しがありませんでした。こういう人、意外に少なくないんじゃないでしょうか。ああ、これは自分には向かないと思いました」
そして33歳で結婚するまでに、ひとつわかったことがありました。それはお金を増やす投資以前に、お金が貯まらない元凶がある、ということ。後に気付くものを入れた3つの元凶のうちのひとつ、それが自動車。もともと車は大好きでした。
「あるときガソリンを入れていて、高いなぁ、これ税金も多いんだよなぁと思っていて。で、その帰りに一時停止違反でつかまりまして。あげく家についたらポストに自動車税の納付書が来ていて。わかったんですよ。ああ、オレを貧乏にしているのは、こいつだ、と」
Tさんは翌週、中古車センターに車を売ってしまいます。以後、今に至るまで車は持っていません。
「僕の持論は、例えプリウスでも都内で車を個人所有する資格があるのは年収3000万円以上、ですね。それ以下ならいらないし、貧乏にしかならない。車をやめたら、その分だけ間違いなくお金は残ります 」
そして、Tさんにとっての大きな転機が、結婚でした。すぐに子供に恵まれたことで、予想もしていなかった、思わぬ事態が起こります。それが、資産づくりへのきっかけになるのです。
(第2回へ続く)
取材・文/上阪徹
1966年、兵庫県生まれ。アパレルメーカーのワールド、リクルート・グループなどを経て、94年よりフリーランスに。経営、金融、ベンチャー、就職などをテーマに、雑誌や書籍などで幅広く執筆やインタビューを手がける。著書に『成城石井はなぜ安くないのに選ばれるのか?』(あさ出版)、『僕がグーグルで成長できた理由』(日本経済新聞出版)、『職業、ブックライター。』(講談社)、『成功者3000人の言葉』(飛鳥新社)、『リブセンス』(日経BP)など。


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