OCEANS

SHARE

2017.06.06

たべる

SNSを活用すれば、ひとりでも怖くない!世界が広がる、ひとり飯~後編


店員の人に愚痴っていたり、ずっとスマホをいじっていたり、さびしいと思われるのが心配だったり……。いやいや、男のひとり飯ってもっと自由で格好いいもんなんです! そこで目指すべきは“グルメ・ヒトリスト”。すなわち自由に食を謳歌する一匹狼です。女性が思わず惚れるような“グルメ・ヒトリスト”を目指すべく、ひとり外食の楽しみ方や振る舞い方を、達人に教えてもらいましょう!「ひとりで店には入れない」なんて後ろ向き。イメージが180度変わる、ひとり飯のすごい世界とは⁉︎
「ゼロから学ぶオッサンひとり飯」を最初から読む
「SNSに食べものの写真を載せるのって、どうなの?」「もしかして、グルメ気取りの自慢?」「日本人しかやらないらしいよ、恥ずかしい」……SNSに料理の写真がずらりと並ぶことが一般的になったころ、こんなネガティブな意見をよく聞きましたよね。
でも、SNSに誰かが投稿した料理写真を見て「食べに行きたい!」と思い、お店を調べたり、出向いたりしたことのある人もいるはず。少なくとも、私はそうです。情報のひとつとしてありがたく頂戴していますので、ネガティブに受け取ったことはありません。気にせずがんがん投稿して、おいしいお店や料理を共有していただきたいものです(笑)。
さて前回、“外食の達人”本郷さんから「ひとり飯を通じて、ウィーク・タイ(ゆるい結びつき)な関係の知人が増えることで、世界が広がる」とお聞きしました。この「ウィーク・タイな関係」の筆頭ともいえるのが、まさにSNSです。TwitterやFacebookなどを通じて、会ったことはないけれど頻繁にやり取りをする相手ができたり、一回会っただけで終わるところが、SNSでつながり続けることができたり……頻繁に会うほど深くはないけれど、忘れずにゆるくつながっている関係。 SNSを通して、この関係をキープすることもまた「ひとり飯の世界をさらに広げるきっかけになる」と、本郷さんは言います。今回は、本郷さん流の“ひとり飯SNS活用術”について、お聞きしましょう!
富永:ひとり飯をしたとき、本郷さんはまずSNSをどう活用されていますか?
本郷:まず、その店が気に入ったら、店長やシェフ、マスターとSNSでつながりますね。僕はFacebookを通して、食に関するさまざまな情報を発信しているので、それを見ると「この人は本気で食べることが好きなんだ」とわかってもらえる。食に対する価値観も含めて覚えてもらえるので、お店の人と親しくなることができます。
富永:私も時々、シェフとFacebookでつながるのですが、たまに「新作を試作中です」とか「今日の一押し食材はこれです」なんて投稿を見ると、思わず連絡して出かけてしまいます。投稿を通して親近感も得られるので、ひとり飯をしに行きやすくなりますよね。
本郷:僕はFacebookでさまざまなグループを運営しているのですが、そのなかにシェフや料理人、飲食店オーナー、ソムリエなど、飲食店関係者だけを集めたグループもあるんですよ。僕と料理人の方々とのネットワークを強める目的だけでなく、料理人同士をつなげることも目的で、料理勉強会もおこなっています。
富永:本郷さん自身が、料理関係者の方々にウィーク・タイな関係を築く場を提供しているんですね! ほかにも、Facebookのグループ機能をよく活用していらっしゃいますよね?
本郷:運営しているグループには、麻婆豆腐愛好家の集まり「麻婆十字団」、高級店に通いなれた人たちが集う「超アヴァンギャルド食卓の騎士団」、ドタキャンが出た飲食店の人が代わりに来てくれる人を急募する「ドタキャン対策同盟」など、さまざまなものがあります。
富永:本郷さんは“世界でただ一人の麻婆豆腐研究家”の肩書きもお持ちですものね(笑)。私もいくつかのグループの投稿をよく拝見していますが、本郷さんをはじめグループ内の外食好きな方々を通して、おいしいお店や食のトレンドなど、たくさんの情報を知ることができます。ウィーク・タイな関係から得られるメリットがたくさん!
本郷:あと、僕は「勝手にメンター」と呼んでいる、外食の達人たちがグループ内にはたくさんいます。たとえば知らない土地に行くとき、ひとり飯できるおいしい店を探すのは大変ですよね。そんなときはFacebookを利用して「誰か、うまい店を知りませんか?」と声をかけると、みんないい店を教えてくれます。
富永:その方法は実にスマートですよね。相手がお店に一声かけておいてくれる場合もあるでしょうし、そうすると「見知らぬ土地でひとり飯」のハードルもぐっと下がります。
本郷:グループ以外で、僕自身のページでも毎日SNSに情報をアップしています。外食したとき、気になったことを調べて投稿する癖をつける。そうすると、外食のたびに積極的にお店の人や常連さんと話して、面白そうなことを探すようになるんです。料理でも食材でも人でも、対象はなんでもOKです。
富永:それは「ひとり飯をする」という、ひとつの言い訳になりますよね。ひとり飯をする勇気がなくても「面白いことを見つけて投稿してみよう!」と思えば、勇気を出してお店に足を踏み入れやすい。
本郷:ひとり飯をした店で出会った人たちとSNSでつながり、自分の投稿を見てもらうことで、似たような嗜好を持ったグルメ仲間が増えて、おいしい情報がさらに入ってくるようになります。ひとり飯を通じて、世界が広がる瞬間ですね。
ひとり飯の世界から、外食好きな仲間を通じて、人や店とのつながりが広がっていく。
SNSならではのメリットを最大限に活用する本郷さんは、まさに格好いい「グルメ・ヒトリスト」だなぁ……と感じます。
さて、今回本郷さんに紹介してもらうお店は、Facebookグループ「麻婆十字団」のつながりを通して知った、ひとり飯にもピッタリな大阪の中華バル!
「麻婆十字団のメンバーには、Facebook上で知り合ったプロの料理人も多数います。そのなかのおひとりが、大阪の扇町にある『中華バル AZuma』のシェフ。面識はなかったものの、グループを通して知り合い、ひとりで訪問したのがキッカケです」と本郷さん。
四川風麻婆豆腐 700円[税別]
カウンター5席、テーブル2つという小ぶりなお店なのもまた、ひとり飯に入りやすいポイント! 本郷さんは、前菜の盛り合わせか、セロリ入りの手作り餃子を頼んでから、麻婆豆腐をいただくとか。「滞在時間は30分くらい。腹8分目にしてから、2軒目のバーに行く。そんな使い方もできる中華」だそう。小皿料理が多く、ひとりでも食べやすいサイズなのが嬉しいお店です。
手作り餃子 400円[税別]
SNSは使い方に注意が必要な場合もありますが、あくまでゆるい結びつきのなかで上手に活用すれば、メリットはたくさんあります。ひとり飯のハードルを下げるのにも、ひとり飯をするお店を探すのにも便利! 今夜、たまにはあなたの「グルメ・ヒトリスト」ぶりをSNSで披露してみませんか?

「中華バル AZuma」
問:050-5571-1484(予約専用)
住:大阪府大阪市北区同心2-7-19 マーブルハウス 103
営:18:00~24:00
休:不定休
取材・文/富永明子
フリーライター。レシピ本の企画・編集、グルメ記事の執筆など、食に関する仕事のほか、美容やヘルスケア、ダイエットに関する書籍・記事も多数。趣味はクラシックバレエ。
取材協力/本郷義浩
毎日放送プロデューサー。1964年、京都生まれ。早稲田大学第一文学部を卒業後、88年毎日放送に入社。「真実の料理人シリーズ」「ラーメン覇王」「ビビビのB級グルメ覇王」「あまからアベニュー」「水野真紀の魔法のレストランR」など、多くのグルメ番組に携わる。番組関連で取材した飲食店はのべ1万軒、プライベートでの食べ歩きも1万軒以上。近年は、世界でただ一人の麻婆豆腐研究家を名乗り「麻婆十字団」を結成。著書に『うまい店の選び方 魔法のルール39』(KADOKAWA)、『自分をバージョンアップする 外食の教科書』(CCCメディアハウス)がある。

『自分をバージョンアップする 外食の教科書』
本郷義浩(CCCメディアハウス)
「外食」を通して世界を広げることが、仕事もプライベートも今より充実させ、自分をバージョンアップさせる! 本郷さん自身の経験をもとに「冒険的外食術」「リーダーとしての外食術」「モテる外食術」など、具体的な外食の方法を解説した一冊。



SHARE

次の記事を読み込んでいます。