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2017.02.22

ライフ

横入りする人へのイラダチの受け流し方


電車を待っていると横入りしてくる人に出くわすことがある。
電車が到着し、降車待ちをしている間隙をついて列を無視し、横からするっと入ってくるあれだ!
今まさに目の前でその光景が繰り広げられている。
朝の清々しい気分を一撃で壊し、私をイラダチの極地まで運ぶ……横入り。
即座に、このイラダチは解消しなければならない!
なぜなら、この手のイラダチが意外と尾を引くのである。
ではどう解釈すれば、電車で横入りするやつへのイラダチを受け流せるのか?
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【忍者だと考えてみる】
例えば、彼が忍者だと考えたらどうだろうか?
人波の隙をつき、するっと横入りする様は、忍者のそれだ! 忍法的なやつだと思えば……
それに、ここは日本だ。忍者がいてもおかしくはない。外国人観光客ならテンションが上がって、写真撮影の嵐になること間違いなしだ!
ダメだ……私は外国人だが、観光客ではない。
今の日本に忍者や侍がいないことも知っている。
次の駅で殿様が乗ってきて「1駅暖めておきました!」と席を譲るくらいのことでもない限り、彼を忍者とはとても思えないであろう。
逆に、忍者でないことでイラダチが増幅してしまう。
もし私がアムロ・レイだったら「オヤジにも横入りされたことないのに!」と叫んで
いるに違いない!
このままでは、イラダチが消えないまま夕食のワインまで不味くなってしまう!
【野生動物だと考えてみる】
では、野生動物だと考えてみるのはどうか?
心理学者フロイトは、人間には「エス」「エゴ」「スーパーエゴ」と呼ばれる3つの性格の発露があると言っています。
「エス」がいわゆる本能。「スーパーエゴ」が理性や良心。その中間が「エゴ」つまり自我で、「エス」と「スーパーエゴ」の意見を聞き、「エゴ」が最終的な判断を下すのだそうだ。
つまり、横入りをするということは、「エス」が「疲れたから座りたい」「スーパーエゴ」が「でも並んでいるから割り込むのはマズい」という判断をするのを、「エゴ」が「スーパーエゴを無視する!」と判断したために起こるのだ。
言ってみれば「エス」のみで動いている。動物と同じである。
野生動物「シカ」や「キタキツネ」などが入り込んだのと変わらないということだ。
野生の「シカ」や「キタキツネ」が電車に乗ってきたらどうだろう?
一気に微笑ましい雰囲気になり、「横入りしたやつ」が北海道の白樺の林で偶然出会った「シカ」や「キタキツネ」に見えてきたりはしないか?
いやいや、そいつも無理がある!
残念ながらビジュアルが野生動物ほど可愛くないのである。
このままでは、就寝前に飲むスコッチまで不味くなってしまう!
【スポーツだと考えてみる】
ならば、スポーツだとしたらどうだろうか?
電車の椅子取りも戦いである。
私の好きなサッカーに例えるなら、ドアが開く瞬間にスペースを開けてしまったこちらが悪いという考え方になる。
「守備側のミス」という考え方だ。
もし彼がメッシなら、ただのスーパープレイなのだ。
「横入り界のメッシ」そんなやつをフリーにしたこちらが悪い。痛い失点だがしょうがない。
でも! いつか止めてやる!「高ければ高い壁のほうが、登ったときに気持ちが良い」ミスチルもそう歌っている。
なんだか、新たな目標を手に入れ、ひと回り人間が大きくなった気がする。
そんなことを考えていると、いつのまにか「横入りのやつは」いなくなっていた……
「横入りまでして、2駅で降りるんかい‼︎」
日本ではよくあることだ。結果「あるある」として処理させてもらった。
文:ペル・ワジャフ准教授

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