暖冬だからこそ「ココペリ」のボートで、ひと足早い春キャンプの準備を!
連載「Camp Gear Note」
90年代以上のブームといわれているアウトドア。次々に新しいギアも生まれ、ファンには堪らない状況になっている。でも、そんなギアに関してどれほど知っているだろうか? 人気ブランドの個性と歴史、看板モデルの扱い方まで、徹底的に掘り下げる。
ココペリが手掛ける、超軽量・コンパクトに収納ができるラフトボートの進化形「パックラフト」。
その魅力と有用性に触れた前編に続き、後編は今シーズンから注目モデルが加わり、よりパックラフトビギナーへのおすすめ度が高まった最新ラインナップを紹介する。
ブランドの強みを活かした新定番の誕生

ココペリは他社と比べ、軽さだけでなく、耐久性にも重きを置いた開発を行っているブランドなことは前回触れた通り。そんなココペリを代表するモデルとしては、あえて今年から登場する新作「XPD」を挙げたい。
アウトラインは従来のモデルを踏襲しており、パッと見には何が新しくなったのかはわかりづらい。特徴はその素材使いにある。
今までの主力モデル「ローグ ライト」は、210デニールナイロンを使っているのに対し、XPDは圧倒的な強度を誇る強化ポリ塩化ビニールを採用したのだ。

これは一般的なラフトボートにも使われる素材で、引き裂き強度は折り紙付き。本国の公式サイトでは、荷物を満載にした状態で砂利の駐車場を引きずる動画も公開されている。それほど、強度に絶対の自信を持つモデルなのである。
高い強度の恩恵は、ハードに使いたいユーザーだけでなく、ビギナーが誤って破損してしまう事態も防いでくれる。
本体重量は少し増えて5.9kg。収納サイズは、もちろんバックパックに収まる程度に仕上がっている。車や電車での移動が主の日本国内であれば、軽さだけでなく、強度が高まったことのメリットは大きい。
定番モデルに自動排水機能を追加

こちらもXPD同様にタフな素材を採用し、今年から国内流通が始まる新モデル「リーコン」。XPDとの違いは、船底の4隅に穴が開いていること。
この穴はセルフベイラーと呼ばれるもので、船内に溜まった水を自動的に排出するための構造だ。

湖などの静水域での重要性は低いが、川下りではどんどん船内に入ってくる水を抜く必要がある。単純な仕組みだが、船底に穴があれば自動で水が抜けてくれる(多少は入ってもくる)ってわけ。水を抜く手間を解消してくれる川下り向けモデルなのだ。
ちなみに、パックラフトには2気室(空気が入る部屋がふたつあり、万一のパンクに備えた造り)のモデルも多いが、ココペリの製品は強度を高めた生地を採用することで1気室の仕様を実現している。これにより設営時の手間が減り、約3分あれば膨らませるようになっていることも、ビギナーにココペリをおすすめしたい理由である。
軽さや収納サイズを重視するならこちらを

車でのキャンプよりも、自分で背負って歩いた先で膨らませて乗るような用途の方が多い。そんなエクストリームな使用方法をする方は、ラインナップ中最軽量の「ローグ ライト」が選択肢。
収納サイズも小さく収まるので、なにか旅のついでに持っていくのにも苦にならないだろう。軽量なため取り回しも良く、激流でなければ川下りにも十分対応してくれる。
より本格的な川を下りたいエキスパート向き

ローグライトを、よりエクストリームな川下り用にしたのが「ローグ」。乗船スペースをデッキカバーとスプレースカートと呼ばれるパーツで覆うことで、船内への水の侵入をシャットアウトする。
前出のセルフベイラーとの違いは、入った水を抜くという発想の前者に対し、そもそも侵入を防ぐための構造を採用していること。こちらのほうが、より激しい川下り向きだ。

親子やカップルでまったり使うなら

最後に、ファミリーでキャンプや釣りに出かける機会が多い方にすすめたいのが「トゥエイン」。従来のカヤックに比べると圧倒的に軽く、取り扱いも簡単。これが1台あれば、アウトドアでの行動範囲は格段に広がる。収納場所が小さくて済むのも高ポイントだろう。
今年は雪が少なく、早く春が訪れそう。こんな年だからこそ、春キャンプ用にいち早く新しい道具の導入を検討してみよう。暖かくなったら新しい道具で何をしようか、想像している時間もアウトドアの醍醐味である。
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池田 圭=取材・文 宇佐美博之=写真