ホテル、いかない? Vol.6
2019.12.11
LEISURE

5000冊のマンガに没頭。夜更かし確定の、眠れないカプセルホテル

ホテル、いかない?●ハイセンスなカプセルホテルや、体験が売りのコンセプトホテル、泊まらずとも特別な時間が過ごせるシティホテルなど、TOKYO 2020に向けて急速に変わりつつある東京のホテル事情。それをチェックしたら、ねぇ、ホテル行かない?

「滞在中は、ぜんぜん眠れませんでした」。

普通のホテルだったら間違いなくクレームだが、このホテルではむしろ褒め言葉。それがマンガに囲まれたカプセルホテル「MANGA ART HOTEL」だ。

一見、ホテル?と疑ってしまうマンガに囲まれた空間。

東京・神田の雑居ビルの4、5階にあるこのホテルは、女性専用フロアに2300冊、男性専用フロアに2700冊、計5000冊ものマンガを取り揃えている。19時までは自由に行き来ができ、それ以降はスタッフにお願いすれば持ってきてもらえるというシステムだ。

現在、日本では1日に約30巻のペースでマンガが出版されているといわれ、その膨大なタイトルの中から、このホテルでは定期的にスタッフによる選考会を開き、2カ月ごとに200タイトルほどが入れ替えられる。

スタッフによるおすすめコメント。外国人滞在者も多いためバイリンガルで。これを参考にマンガを選ぶのも楽しそうだ。

選書の基準は“感情を揺さぶるもの”。

本棚に並ぶマンガの横には、それぞれスタッフがその物語の何に感情を揺さぶられたのか、おすすめコメントが添えられているのも特徴だ。

例えば『ゴールデンカムイ』(集英社)であれば、謎解きのなかに、この料理を食べてみたいと思わせる描写や、怖さ、グロテスクさなどがあり、さまざまな感情の揺さぶりを感じられるのが推薦理由だ。

そのコメントに興味を引かれ、軽い気持ちで1冊手にすると、あっという間に時間を忘れて没入してしまう。なかには2〜3週間滞在するゲストがいるというから、たとえ眠れなくても、居心地の良さは圧倒的なのだろう。

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押入れで読むマンガの楽しさを

 

また、「マンガのことはマンガ好きに聞け!」とばかりにゲストにも好きなマンガや意見を求めて、配置などを変えているという。

もうひとつの選択基準は、表紙も含めて、アート性があるもの。どんなに面白いマンガであっても、これがなければ選ばれることはない。というのも、ここのマンガはすべて購入が可能。ジャケ買いをしていく外国人ゲストも多いことから、飾っておいても「絵になる」クオリティの高さは外せないのだ。

ちなみにマンガの劣化を防ぐ意味でも、マンガに没頭してもらうためにも、このホテルはペットボトル以外の飲食は不可。エレベーター前にあるカウンタースペースでブレイクすることとなる。

本棚の中で寝ているような不思議な気分が味わえるベッドスペース。

ベッドスペースは、押入れの中でマンガを読んでいた原体験が元になっているというだけあって、本棚に組み込まれたような配置になっている。カプセルホテルというよりも秘密基地のような、童心をくすぐるワクワク感を漂わせている。

ベッドに寝転がりながらだらだらマンガを読む……ある意味、大人の贅沢と言えるかも。

お気に入りのマンガを抱え、ベッドスペースで横になりながら、だらだらと読み耽る。その背徳感がたまらない。

それって結局は漫画喫茶と一緒じゃない? と思った人もいるかもしれないが、ここはあくまでホテル。旅館業法により宿泊者の身元はしっかり把握され、それによる安全性や快適性は保証済みだ。

世界でのマンガ人気も手伝って、最近では満室になることも多い。だが、ホテル自体がコンパクトなため、人が多いとマンガの世界に没入できなくなるのでは? と、今後は空室をつくる計画もあるという。

リフレッシュするためのホテルというと、温泉や自然豊かな土地への旅を思い描くかもしれないが、都内で寝食を忘れ、どっぷりマンガに浸るというのも、新しいリフレッシュの形かもしれない。

 

MANGA ART HOTEL
住所:東京都千代田区神田錦町1-14-13
1泊4800円〜
https://mangaarthotel.com/

 

林田順子=文

# MANGA ART HOTEL# ホテル# マンガ
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